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1963年登場。同年に行われた京王線の新宿駅地下移設及び直流1500Vへの昇圧に際し、昇圧対応の他、京王線のイメージ向上を目指して製造された、京王線向けの車両である。全長18m級の片開き3扉車両で、前年には井の頭線向けにオールステンレスカーの3000系が導入されていたが、こちらは踏切対策から普通鋼製となっている。同年に導入された3000系と同様、袖が絞られた車体が採用されている(1963年に製造された車両のみ、車幅がやや狭くなっている)。正面には貫通扉を設け、両側に大型のパノラミックウィンドウが備わっている。貫通扉には行き先表示器が搭載された他、上部に前照灯を備える。尾灯と標識灯は角型となり、四隅に備えられた。1960年代に製造された車両としては非常に端整なデザインとなっており、アイボリー地に臙脂色の帯が配された車体塗装(初期車は更に乗務員扉部分から臙脂色の『ヒゲ』がつけられていたが、後になくなっている)と共に、京王線の車両イメージを一新した。制御方式は2010系で採用されたWN駆動を基本とするが、増結用に製造された車両(当初は5070系と区分)のうち、初期に製造された車両のみ、2700系の電装解除により捻出された電装品及び台車を流用することで、釣り掛け駆動方式が採用されている。車内はクロスシートの採用も検討されたというがオールロングシートとなり、3000系の初期編成と似通った内装となっている。5000系は1963年8月の昇圧より営業運転を開始し、その後の10月に運転を開始した新宿〜東八王子間の特急に優先使用された。文字通り京王線のフラッグシップとなり、一部の既存車両までもアイボリーに臙脂の帯を巻いた車両が登場し、更に7000系までこのイメージカラーは引き継がれており、京王線のイメージを確立した車両といえる。1964年には鉄道友の会のローレル賞を受賞した。1969年までに5000系が4連23本、増結用の5100系(当初5070系と称したが増備の途中で車両番号不足が懸念されたことから改番)が2連12本、3連13本と、総勢155両の陣容となった。なお、増備の途中でもマイナーチェンジが施されており、特に1968年に製造された車両からは新製冷房車となった。当時特別料金不要の冷房車両は珍しく、オールロングシートの車両という点では国内初の事例となった。初期に製造された車両を除き非冷房車も1979年までに順次冷房化がなされ、特急から普通までオールマイティーに活躍したが、1972年の6000系登場後は輸送力に差があることから次第に優等運用から普通・快速を主体とするようになっていった。なお、オールロングシートの冷房車は前例がなかったことから比較検討が必要であり、更に冷房化改造車の一部は先頭車と中間車で異なる冷房装置が搭載されたこともあり、計8種類もの冷房装置が採用されている。1979年に1両が事故廃車された以外は1980年代まで全車在籍していたが、5000系より古い2010系以前の系列が全廃されて以降は廃車対象となり、1987年から釣り掛け駆動の車両より廃車が始まった。釣り掛け駆動車は1989年に全廃となり、WN駆動で非冷房のままだった車両も1992年までに廃車された。残る車両も8000系の台頭により活躍範囲が狭まり、最終的に1996年までに全車運用を離れた。以降京王には事業用車に転じた3両のみ残され、保線、レール運搬等に用いられたが、これも2004年に廃車解体されて京王から5000系は消滅した。1両が京王研修センターを経て2013年より京王れーるランドで保存されている他、18m3扉かつ2連を組めることから多数の地方鉄道に譲渡されており、譲渡先でも廃車が進みつつあるが、2021年現在もなおその姿を見ることができる。
2013,11,01 京王れーるランド |