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1987年登場。老朽化した釣り掛け駆動車両の置き換えと、それに伴う車両の体質改善を目的に導入された車両である。既に伊予鉄道では同様の目的から元京王2010系の800系が導入されていたが、既に譲受元の京王では2010系は全廃されていたため、同時期に廃車が発生した5000系が改造種車に選ばれている。京王5000系は多くの鉄道事業者に譲渡されたが、同系列が最初の譲渡先であり、かつ唯一昭和時代から譲渡が行われた。この時期に京王を廃車された車両の多くは5100系(製造時は5070系)と称された増結用のグループで、かつ大半の車両が釣り掛け駆動の非冷房車であった。伊予鉄道への譲渡に際しては、軌間が異なることから電動車として譲渡された車両が小田急・東武鉄道の廃車発生品への換装、制御車として譲渡された車両が元の台車の車軸を狭軌用に換装した。合わせて制御方式も平行カルダン駆動方式に改められ、全ての車両が高性能化されている。京王5000系は元々行き先表示器を備えた貫通扉が取り付けられていたが、これは表示器のないものに換装されており、更に伊予鉄道の車両限界の相違から側扉部分のステップが削られており、特に広幅車両では殆どなくなっている。前述のとおり譲渡された車両の殆どは非冷房車であり、1987年に導入された3両は非冷房のまま運用入りしたが、後に全て分散型冷房装置を用いて冷房化され、郊外線のサービスアップに寄与している。譲渡当初は3両のみであった700系も1991年までには28両の陣容となり、伊予鉄道の鉄道線車両としては最も両数の多い車両となった。なお、編成は3連が8本、2連が2本となっていたが、3連の高浜方に連結されていたモハ720形は妻部に貫通扉が設置されており、単行での運転が可能となっていた。これにより、朝ラッシュ時は3連で運用し、ラッシュ終了後に松山市・高浜で切り離しの上モハ720形のみ単行回送され、日中は残る2連で走行、夕ラッシュ前に再度連結の上3連化するという、1M方式の構造と元々搭載されていた電気連結器を活かし時間帯によりフレキシブルに増解結を行うことができた。ただし現在は終日3連での運用が増えたため、平日の増解結は行われなくなっている。3000系の台頭により9両が廃車されたため、現在は19両の陣容となっている。残存車は新塗装への塗り替えを経ながら現在も主力車両として活躍している他、廃車された車両のうち2両は銚子電鉄に譲渡され、同社3000形として現在も使用されている。
2017,05,05 古 町 |