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1998年登場。大社線を含めた一畑電鉄の完全冷房化・高性能化及び出雲大社への観光輸送強化を目的として導入された車両である。2100系と同じく元京王電鉄の5000系が種車となっており、台車に営団3000系の廃車発生品を使用している点や中間扉が埋められている点は2100系の後期導入車と共通であるが、こちらは観光輸送を兼ねていることもあり大きく異なる姿となった。前面は非貫通構造となり、前面窓の周辺は一体的に見えるよう黒く処理された姿となっている。ライトも丸形となりヘッドライトが上部中央に1つ、尾灯・標識灯が上下左右に2つずつという、ややレトロ調の配置となっている。塗装も一新され、窓周りが白、下部が黒をベースとし、更に屋根と裾部分を青、上下に黄色のラインを巻いたいでたちとなった。この他、現在の一畑電車の車両では唯一スノープラウも備えている。車内も2100系とは大きく変わり、ロングシートとクロスシートの混在したセミクロスシートとなった。クロスシートは片側が1人掛けの転換クロスシート、もう片側が2人掛けの回転クロスシートとなっているが、特に後者は小田急電鉄3100形(NSE)の廃車発生品を流用しており、特筆事項となっている。また化粧板も2100系とは変わっており、模様入りのものに改められている。このように内外装とも特別仕様となっているが、通常の運用にも就くことからワンマン化改造も行われている。5000系は2連2本の4両が竣工しており、同車の運転開始によって大社線で使用されていたデハ1形は引退し、通常運転に就く車両は原則高性能化・冷房化が完了している(この後も予備車として元西武の60形・イベント用としてデハニ50形がしばらく存続)。5000系は特別な内外装を持つことから特急「スーパーライナー」や出雲市〜出雲大社前間直通特急、急行「出雲大社号」等の花形運用には限定使用されており、文字通り一畑電車のフラッグシップとなっている。尚、車両性能の同じ2100系とは併結運転が可能であり、5000系のうち1編成が運用を外れる場合は2100系を併結しての運転も見ることが出来る。
2013,07,19 川 跡 |