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1993年登場。前年より試用された901系の実績を元に製造された量産型通勤電車である。901系では仕様の異なる3編成を試作し、それぞれ営業運転を行いつつ走行試験が行われたが、量産車となるこの209系では、『重量半分・価格半分・寿命半分』という設計コンセプトはそのままに、それぞれで最も良好な成績を収めた機軸が採用されている。具体的には、制御装置にC編成で試用された三菱製のGTO-VVVFインバーター制御装置、コンプレッサーはA編成で試用されたスクリュー式コンプレッサー、マスコンハンドルはB編成で試用された左手ワンハンドルマスコンハンドルがそれぞれ採用されている。内装面では片持ち式座席や大型熱線吸収ガラスの採用及び車内カーテンの廃止等、基本的な特徴は901系を受け継いでいるものの、車内案内表示器及びドアチャイム、車椅子スペースを新たに設けることによってサービスを向上させている。これらはいずれもJRの通勤型車両では初の設置となり、以降製造される車両にも反映されている。尚、側窓は全て固定式だったが、走行線上で運転が見合わせとなった場合に体調不良者が出たことで、後年一部窓の開閉可能化がなされている。901系同様、製造コスト削減のために各社間において車体工法に違いが生じており、東急車輛と川崎重工、そして新たに造られた新津車両製作所の3社で製造が行われている。本系列はJR東日本において「新系列電車」と位置付けられており、以降のJR東日本の通勤型・近郊型車両に多大な影響を与えただけでなく、大手私鉄を中心にその車両開発にも大きな影響を与えている。1993年にまず京浜東北線用に10連5本、南武線用に6連1本が製造され、順次営業運転へと投入された。その後は急速に増備が進み、1998年の段階で10連78本、6連2本という陣容となった。京浜東北線には途中から6扉車のサハ208形が製造され、編成を組みかえながら78本全てに投入された。京浜東北線では103系を全て置き換えて主力車両として使用されたものの、E233系1000番台によって置き換えられる事となり2007年から2010年までに京浜東北線からは撤退している。撤退後は、初期車や付随車を中心に廃車解体された車両もあるが、制御装置の更新等延命化改造を施された上で房総及び南武線に転用された車両、試験車「Mue-Train」や訓練車に改造された車両も存在する。この結果、営業運転に供される0番台は中原電車区の南武線用6連1本のみに減少し、同編成は表示器のLED化がなされつつ2014年まで使用されていた。しかしE233系に置き換えられて廃車されており、これにより0番台は廃区分番台となった。
2008,08,16 田 町 |