キハ40形700・1700番台
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     キハ40形1000番台キハ40形2000番台キハ47形キハ41形
 キハ40形のうち700番台は、北海道に配置されていたキハ40形100番台を種車にワンマン運転化改造を施したものであり、急行用に転用された車両以外は1991年から1995年までに100番台全車がこの700番台となった。キハ40形100番台はキハ12形の置き換えなどを目的に1977年から製造が開始された区分で、キハ40系列の中では最も早く製造されたグループである。既に製造されていたキハ66系をベースとした、全長21.3m、全幅2.9mの袖絞り大型車体を有し、前面の形態もキハ66系に類似しているが、キハ40系列では尾灯の位置が更に高くなっている。外装は朱色5号一色塗りへの変更が進んでいた時期であったため、製造時は全車朱色5号の一色塗装であった。100番台は特に北海道での使用を前提としていたため両端にデッキを設けた片開き2つ扉の配置となり、側窓は二重窓として保温性を高めている。また、暖房装置は新たに開発された温風暖房装置が採用されており、従来の温水暖房装置に比して機関数を問わず暖房能力の向上が図られている。この暖房装置はエンジンの冷却水の熱で内気・外気を温めるもので、内気・外気の取り込みのために内外装ともに専用のルーバーが備えられている。車内は車端部にロングシートを有したセミクロスシートで、従来の北海道向け気動車が床が木張りであったのに対しこちらはリノリウム張りとなっている。ボックスシートのシートピッチは急行型車両と同じ1470oとなり、置き換えるキハ12形等と比べ居住性の大幅な改善がなされている(ボックスシートは原則として2×2人掛けだが、後年札沼線等での通勤輸送用に1×2人掛けに改造された車両も存在する)。このアコモデーションのため、製造当初を中心に急行列車にも用いられることがあった。なお、製造時は全車非冷房で、デッキ部から入るように設置されたトイレも汚物処理装置の搭載準備はされていたが、当初は全て垂れ流し式であった(後に取り付け)。走行機関としてはDMH17系エンジンに変わりDMF15HSAと称するエンジンが1基搭載されたが、DMH17系エンジンと比べて大幅な刷新とはならず、車両自体の重量増と相まって非力と評される程であった。なお、台車は着雪防止や省力化の観点から空気バネ台車が奢られている。100番台は1982年までに150両が製造され全車北海道に配置されたが、前述のとおり急行用に転用された以外の141両が700番台に改造されている。なお、塗装は当初朱色5号の一色塗りであったが、700番台への改番に合わせJR北海道色に塗り替えられている。特筆事項として、本グループのキハ40-764が映画「鉄道員」撮影に際してキハ12形に類似した姿に改められている。この車両は2005年まで運用された後、延命化は施されずに廃車された。2003年からは700番台にもエンジン換装や送風装置換装を始めとする延命工事が施工される車両が現れ、施工車は原番号に1000が足され、1700番台に区分された。一部の車両は更に改造を施され、300番台や400番台へと改番されているが、JR北海道全体では700番台・1700番台が最も多く在籍し、JR北海道のほぼ全ての路線で用いられ、長きにわたり北海道ローカル輸送の主力車両として使用された。現在では製造から40年以上経過した車両も多く、また2020年には本系列の後継車としてH100形が導入されたこともあり、車両数、運用範囲共に縮小傾向にある。なお、江差線の経営分離に際しては、1700番台9両が道南いさりび鉄道に譲渡されている。

 2007,09,07 函 館


■Variation
 1977年に製造された最初期車両については、窓配置や屋根上の水タンクの形状などが異なり、座席定員も以降製造された車両より多くなっている他、台車も異なるものを搭載している。700番台への改造は94年から翌年に施工されており、改番後は製造番号順に825〜841と改番され、「製造は早いが車両番号は末尾」という逆転現象が生じている。

 2016,01,10 函 館
 700番台のうち、エンジン換装などの延命化工事が施された車両は1700番台に区分された。全車両には波及せず、84両が施工された時点で打ち止めとなっている。道南いさりび鉄道に譲渡された車両や「北海道の恵み」「山紫水明」といった観光列車への改造はこの1700番台からあてがわれている。

 2016,09,04 美 瑛
 釧路運輸区に所属する700番台・1700番台のうち3両は2010年に登場当時の朱色5号一色に復元されている。

 2014,06,29 釧 路
2020/04/05