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2018年の「本物の出会い 栃木」デスティネーションキャンペーンにあわせ、日光線における観光輸送の強化を目的に、元々同線で使用されていた205系600番台1本(Y3編成)を種車に大宮総合車両センターで改造を施したもので、205系としては初の観光用車両である。車体は種車のものを活用しているが、中間2か所の扉を埋めたことで1両2ドアに改められている。外装は「ジャポネスク」「モダン」をコンセプトとしており、窓回りを「灰桜色」とし、その上下に「黄金色」の帯を配し、下部を「黒色」として、全体を通じて和を意識させる配色となった。扉を埋めた部分は窓が新設されている他、その下部には「いろは」のロゴマークが貼り付けられている。この他窓横には日光線沿線をイメージしたイラストが描かれている。車内はボックスシート主体のセミクロスシートに改められた。ボックスシートは2人掛けと4人掛けで構成され、床面の高さが他よりやや高くなっている。ロングシート部分は袖仕切りが大型化されている。扉よりやや中央よりには大型の荷物置き場が設けられたほか、車いすスペースやフリースペースを車端部に備える。扉鴨居部には205系で初めて多言語表示が可能な液晶表示器が設置され、Free WiFiが導入されるなど、総じて海外からの観光客にも利用しやすいよう配慮されている。なお、全体的に木目調にまとめられている他、室内灯はLEDに換装、優先席以外の吊り革は木製となり、座席モケットは「クラシックルビーブラウン」を基調にニッコウキスゲが描かれた独自のものに改められた。この「いろは」は、デスティネーションキャンペーン開幕にあわせ、2018年4月に営業運転を開始した。観光シーズン等に臨時列車としても使用されるが、通常は日光線の普通列車の運用に就く。「いろは」の充当ダイヤは決まっており、特に朝夕にある宇都宮〜鹿沼間の区間運用は全て「いろは」の充当となった。比較的大規模な改造が施された同車両ではあったが、他の205系がE131系に置き換えられる時点でこちらも置き換えの対象となり、2022年3月に運用を離脱している。
2018,08,26 鹿 沼 |