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205系600番台は、日光線で使用されていた107系0番台と宇都宮線区間運用(宇都宮〜黒磯間)に使用されていた211系の置き換えを目的として、京葉線および埼京線を余剰となった205系に改造を施したグループである。編成はそれまでの10両から4両に短縮されており、それに伴い余剰車は廃車されている。改造にあたっては、北関東の比較的寒冷な線区を走行することから、耐寒設備の強化が主眼におかれている。制御方式は従来と同じ界磁添加励磁制御方式であるが、コンプレッサーの耐寒化や耐雪ブレーキが追加された。降雪時の対策としてパンタグラフはシングルアームパンタグラフに換装され、また霜取りを目的として各編成に1基増設されている。また25‰の勾配を有する日光線での走行に考慮し、台車に噴射式増粘着装置「セラジェット」を装備し抑速ブレーキも増設した。車内はロングシートだが、半自動扱いを可能にするためドアには押しボタンが設置された他、ドアチャイム(4音タイプのもの)が追設されている。また黒磯方先頭車には車いす対応トイレ及び車いすスペースが新設され、長距離運用やバリアフリーにも対応した。尚、前述の寒冷地向けの改造として、暖房能力が強化された他ドア部分にはレールヒーターが設けられた。前述のとおり編成は1編成は4両だが、ラッシュ時等では2本繋いだ8連での運転も考慮され、前面には電気連結器を備えている。205系600番台はまず2013年3月に日光線・宇都宮線小金井〜宇都宮間で営業運転を開始し、次いで同年8月に宇都宮線宇都宮〜黒磯間でも営業運転を開始している。投入される線区により配色が異なっており、日光線向けの車両は先代107系の塗装に準じ、「クラシックブラウン」「ゴールド」と白帯を基調とした帯が巻かれ、沿線ゆかりのイラストも貼られている。他方宇都宮線向けの車両はオレンジと緑の所謂「湘南色」となったが、この配色パターンは205系では初となった。2014年までに4連12本が小山車両センターに配備されたが、このうち4本が日光線塗装、残り10本が湘南色とされた。後者のうち2本は埼京線の205系を種車としているため、前面のデザインや座席モケットは他車と異なっている。いずれも該当区間において主力車両として活躍している。基本的に日光線塗装の車両とそれ以外では運用は分けられているが、両者間で塗装以外の差異はなく混用は可能である。10年程度主力車両として使用されたが、2022年のダイヤ改正では後継となるE131系600番台が日光線・宇都宮線に投入され、本番台はダイヤ改正前日を以て全編成とも定期運用を離脱した。
2015,01,31 宇都宮 |