115系2000番台
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115系0/800番台300番台500番台550番台ユニット1000/1500番台・2000番台・3000/3500番台
 1977年登場。残存していた旧性能車の置き換え及び体質改善を図るために製造された番台の一つである。同年には北関東・甲信越地区向けにシートピッチ改善及び耐寒耐雪構造を強化した1000番台が導入を開始していたが、本番台は当初80系電車の置き換えで広島地区への投入されることになったこともあり、比較的暖地向けの車両として区分されている。即ちクロスシート部分のシートピッチが1490oに拡大された点は1000番台と共通だが、こちらは雪切室を搭載せず、主電動機の冷却方法は300番台以前の車両に準じている。車内はセミクロスシートで、1000番台の車端部がトイレ横を除きロングシートであったのに対し、雪切室を設置しないこちらはボックスシートとなっている。広島地区に配備された2000番台は制御車と中間電動車ユニットを組み合わせた4連ないし6連で、制御電動車は製造されていない。このグループは新製当初から冷房装置及び汚物処理装置を搭載している。広島地区に投入されたのに次いで、1981年からは身延線に残存していた旧型国電の置き換えのために本番台が再増備されることになった。こちらは同じ2000番台ではあるが、編成が3両基準となっているので、2000番台として初めて制御電動車も配備された。また身延線は私鉄買収路線でトンネル断面が非常に小さい箇所があることから、その対策でパンタグラフ搭載部分が低屋根化されており、パンタグラフを有すモハ114形は2600番台と区分された。身延線用に投入された2000番台は、外装がワインレッドに白帯という独自塗装が採用され、地域、線区ごとの独自塗装の先駆けとなった。ただし冷房装置、汚物処理装置、側面の行き先表示器はいずれも落成当初は準備工事に留められ、一部を除き後に搭載された(因みに広島地区に投入された車両は当初湘南色、後に瀬戸内色に変更された)。身延線では4連運転用の制御車も製造されたが、これは1984年の越後線、弥彦線電化に際し新潟に転属している。このため国鉄の分割民営化に際しては、JR東日本、JR東海、JR西日本の3社に継承された。JR東日本に継承されたのは前述のとおり制御車のみで、大半の車両が方向転換のうえで4連を組む編成の先頭に連結された。冷房化、塗装変更等の変遷を経ながら他の115系と共に活躍したが、E129系の増備に伴い2015年に全廃となった。JR東海では独自塗装から湘南色への塗装変更が行われた他、インバータークーラーを用いた冷房化がなされた。引き続き身延線を中心に東海道本線や御殿場線でも使用されたが、2006年から313系の増投入に伴い置き換えが廃止され、2007年3月の改正で定期運用を離脱、翌年までに全車廃車された。JR西日本では引き続き広島地区を中心に主力車両として使用された。1999年から体質改善工事が施工され、初期の40N施工車は車内を223系に近いアコモデーションに一新したほか、窓の換装や張り上げ屋根化、ドアエンジンの換装、押しボタンの設置など、大規模な改造が施された。後に改造規模を縮小した30Nに改められたが、2009年までに全車に体質改善工事が施工されている。この他2012年からは老朽化した制御車の置き換えを目的に、既に体質改善30N工事が施工されている113系2000番台の制御車を115系に改造編入し、クハ115形2500番台・2600番台として本グループに組み込まれた。引き続き広島地区における主力車両として用いられたが、2014年以降の227系の投入により活躍の幅が徐々に縮小し、2019年に広島周辺が全て227系に統一されたため、4連2本を残して廃車された。残された2本は岡山に転属したが、これも2020年に廃車されたため、2000番台は廃区分番台となった。

 2015,06,07 広 島


■Variation
 濃黄色一色に塗装された編成。115系は2015年までに全車濃黄色に統一されている。なお、2000番台は2009年までに全車が体質改善工事を受けているが、このうち2009年以降に施工された車両は体質改善N30工事が施工されており、側窓や天井部分の大規模改造が省かれている。2000番台では体質改善N40工事を施工された車両の方が多く存在したが、いずれも2020年までに全廃となった。

 2015,06,07 新井口
 Jリーグチーム「サンフレッチェ広島」の全面ラッピングが施されていたL17編成。元々2017年からプロ野球チーム「広島東洋カープ」の応援ラッピングが施された編成が存在したが、これが地元Jリーグチームにも波及したものである。チームカラーである紫を基調とした全面ラッピングで、カープのラッピング車両共々非常に目立つ存在であった。この編成でのラッピングは2017年から2018年までの1年間で、その後は別の編成にラッピングが施されている。なお、この編成の下関方制御車は1000番台であった。

 2017,10,21 下関総合車両所
 2010年代に広島地区の115系R編成において、殆どの先頭に連結されていたクハ115形2500番台・2600番台。京阪神地区で余剰となった113系の一部は岡山や広島に転属しているが、更にそこで余剰となった編成の制御車の一部が、113系や115系の老朽化した制御車を置き換える目的で、115系への編入改造(主幹制御器を交換し、抑速ブレーキに対応)を施されたうえで115系に組み込まれた。クハ115形2500番台・2600番台はいずれも113系2000番台を改造種車としており、タイフォンがスリット入りもしくはカバーで覆われている形状となっている点が特徴である(115系は0番台を除きタイフォンはシャッターがつけられている)。

 2015,06,07 新白島
 体質改善N40工事が施工されていたL04編成。1999年から開始された体質改善工事では、まず製造から40年程度の使用を見込み、内外装に至るまで徹底的な更新修繕が施された体質改善N40工事が行われた。2000番台では13本がこの工事を受けており、張り上げ屋根や金属枠で覆われた固定窓等が体質改善N30工事施工車には見られない特徴となっている。この施工車も例外なく濃黄色に塗り替えられており、主力車両として使用されたが、227系の増備に伴い置き換えられ、2018年から翌年にかけて全車廃車されている。

 2015,06,07 新井口
 身延線用に沼津に配置された2000番台。3連での運用を可能とするため、2000番台としては初めてクモハ115形も製造された。中央東線よりも狭いトンネルの通過に対応するため、モハ114形のパンタグラフ部分は低屋根化されており、2600番台として区分された。一部制御車が新潟に転属した他はそのまま身延線用とされ、JR東海に継承された。当初は独自塗装を纏っていたがJR東海への継承後は湘南色に塗り替えられた。このグループは冷房準備車として落成したが、インバータークーラーによる冷房化が行われている。2000番台はB編成と呼称され、それ以外の番台で組成されていたS編成とは基本的に運用が分けられていた。2006年から2008年にかけて313系に置き換えられて全車廃車された。

 2004,08,14 芝 川★
 2000番台のうち、身延線の4連運転用に製造された制御車8両は、1984年の越後線・弥彦線電化に際し新潟に転属し、そのままJR東日本に継承された。この制御車は元々奇数向きであり、2100番台に区分されていたが、新潟への転属にあたり1両を除き方向転換がなされ、偶数向きに改められた。偶数向きに改められた車両は改番され、2000番台の続番があてがわれている。同時に耐寒耐雪化の強化もなされた。前述のとおり制御車のみ在籍しており、3連ないし4連を組む編成の先頭についた。主力車両の一翼として使用されたが、E129系の増投入に伴い4連のL編成は2015年までに全廃、3連のN編成で先頭についた車両も2016年に全廃となった。

 2015,07,26 新 潟
2021/12/06