2018年登場。経年の進んだ10000系の取り換えを目的として製造された、西武鉄道では実に四半世紀ぶりの特急型新形式であり、「Laview」という愛称がつけられた。車体は日立製作所で製造され、同社が手掛けるアルミ製車体「A-train」を採用しているが、トータルデザインを建築家の妹島和世氏が手掛けており、「いままでに見たことのない新しい車両」をコンセプトとして他の鉄道車両とは一線を画す車両となった。形式の「001」も目新しいが、これは前述のコンセプトの他、「次の100年に向けた出発点となる、無限の可能性を込めた車両」を現したものである。アルミ製の車体には鉄道車両で初めて「スーパーブライトNo.2000」という塗料が塗られ、周囲の景色が自然と映り込むようなメタリック調の外観となっている。前面は曲線半径1500oにもなる曲面ガラスを採用した球形のデザインとなっている。先代の5000系や10000系は非貫通構造であったが、こちらは将来の地下鉄乗り入れを見据え、球形の前面ながら貫通扉を前面に備えている。側面は縦幅1350o、横幅1580oという大きさの側窓が並び、前面の造形と共に本形式を象徴する要素の一つとなっている。制御方式はVVVFインバーター制御方式で、6000系更新車で実績のあるSiCを用いた制御装置が採用された他、全閉式のかご形三相誘導電動機が採用されている。車両情報管理装置は引き続きS-TIMが採用されており、運転台は30000系以降の通勤型車両と同様のグラスコクピットとなっているが、こちらは速度表示が左側に表示される(他形式は右側)。主幹制御器には特急型車両として初めてT型ワンハンドルマスコンが採用された。客室はリクライニングシートが1070oピッチで展開するが、座席形状はソファーを思わせる独特の形状で、モケットは「西武らしさ」を表現した黄色基調の明るいものとなった。ヘッドレストにはピローが設けられ、背面テーブルの他インアームテーブルやコンセント、車内Wi-Fiも備えられており、車内案内表示器はLCDが採用された。このように、既存の10000系を上回るサービスが提供される。縦幅1350o、横幅1580oもある側窓(一部除く)や間接照明(調光機能付き)、更にはオフホワイトを基調としたカラースキームにより、リビングのような開放感がありかつ落ち着いた内装となっている。デッキ及びサニタリースペースは、客室とは異なり黄色基調の明るいカラーリングとなっているが、床材には人造大理石を採用することで高級感を演出している。このサニタリースペースでは大型の多目的トイレや女性専用トイレ、パウダールームが新設され。AEDも設置された。なお、これら設備の導入により既存の両数では座席数が不足することから、編成両数は10000系の7両から1両増え、8両編成となった。001系は当初2本が落成し、西武特急が運行を開始して50年の節目にあたる2019年3月のダイヤ改正より池袋線特急「ちちぶ」「むさし」として営業運転を開始した。2019年度中に8連7本の陣容となり、その時点で池袋線の特急は本形式に統一される。なお、新宿線での投入予定は今のところないが、2019年のゴールデンウイークでは本川越〜飯能間に同形式を用いた臨時特急が設定され、初めて新宿線所沢〜本川越間で営業運転を行っている。 2019,05,11 石神井公園 |