E3系現美新幹線
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E3系:0番台1000番台2000番台とれいゆ・現美新幹線
 E3系「現美新幹線」は2016年に登場した観光列車である。既に営業運転を開始していたE3系「とれいゆ」に次ぐ観光特化型車両で、かつて秋田新幹線で用いられ、E6系の台頭で余剰となっていたE3系0番台のうち、R19編成が改造種車となっている。「とれいゆ」と同じく車両番号は700番台に改番された。本車は「世界最速の美術館」を開発コンセプトとしており、愛称のとおり「最高時速275km/hの新幹線で現代美術を堪能でき、乗ること自体が旅の目的となる車両」として改造が施された。外装デザインは蜷川実花氏によるもので、黒を基調として長岡花火がダイナミックに描かれており、外装だけ見ても新幹線としては極めて異色の車両と言える。車内は11号車(東京方先頭車)のみ指定席、その他が自由席という扱いだが、通常の座席が配されている車両は11号車のみで、元々グリーン車であった座席をそのまま活用しているが、この号車も一つのアート作品となっており、その様相は種車とは大きく異なっている。11号車以外の車両は前述のとおり「走る美術館」に相応しい内装に大きく変わり、全ての号車が全く異なる内装に仕上がっており、それぞれの号車で異なるジャンルのアーティストによる新幹線車両と言う特性を十二分に生かした「現代美術」を堪能することができた。このうち13号車はキッズスペースとカフェコーナーがあり、前者はカーペット敷きとなってプラレールが置かれた。後者はカウンターの他イスとテーブルも配され、新潟ゆかりのコーヒーやスイーツを堪能できた。「現美新幹線」は2016年4月に営業運転を開始したが、それまでE3系ではほぼ縁のなかった上越新幹線が運行範囲であり、そのうち越後湯沢〜新潟間において臨時「とき」という扱いで運用された。これは新潟県内で「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が開催されるなど、新潟県がアートに関心が深いエリアであることに起因している。当初は一般発売は11号車のみで、他号車は旅行商品として販売されたが、2016年7月以降、11号車以外は普通車自由席の扱いに変更されている。元々経年の車両を改造していたこともあり、改造後の活躍期間はさほど長くなく、検査期限を迎える2020年12月を以て営業運転を終了し、翌年廃車された。

 2017,10,01 新 潟


2025/09/14