415系800番台
トップページ鉄道写真図鑑JR通勤・近郊・一般型電車>415系800番台
415系0番台100番台500番台700番台・800番台・1500番台
 1991年に七尾線津幡〜和倉温泉間が電化されることとなったが、建築限界等の関係から交流電化ではなく直流で電化されることになった。従前より七尾線の列車が乗り入れている北陸本線(現在のIRいしかわ鉄道部分を含む)は交流電化されているため、津幡〜中津幡間にデッドセクションが設けられた。このため、七尾線用の電車として交直流車が必要となったが、コスト低減のために新造車両はあてがわれず、交流区間を走行しなくなった福知山電車区の485系から交流機器を捻出(捻出した車両は183系700・800番台に改番)、捻出した機器を113系に搭載することで賄われることになった。このような背景のもと誕生したのが415系800番台であり、1990年から翌年にかけて3連11本が改造された。編成はMc-M-Tcの3連で、415系としては初めて制御電動車が登場しているが、この制御電動車は国鉄時代末期に福知山線用に配備されたクモハ113形800番台(113系の中間電動車に運転台を接合したもの)が種車となっている。それ以外の車両は113系0番台ないし800番台が種車であり、全て1960年代に製造された非ユニット窓の初期車が種車となっている。元々直流専用車であった車両に交流区間でも走行できるよう各種機器類を搭載しているため自重が増加しており、そのため特に集電装置を搭載する中間車は台枠の強化や集電装置部分の低屋根化が施されている。またベンチレーターの変更(グローブ型→押込型)や非冷房車の冷房化、前面のタイフォンの移設及びタイフォンカバーの設置(113系0番台からの改造車が対象)、側扉の半自動機構対応化といった比較的大規模な改造が行われている。なお、側面の行き先表示器は準備工事に留められ、最後まで取り付けられることはなかった。代わりに正面の表示器は行き先を表示するよう活用されており、黄色地の独自の方向幕が採用されている。車内はセミクロスシートだが、急行列車への使用も考慮されており、115系550番台ユニットにみられるような大規模な改造が施されている。ボックスシートは座面、背ずり、ヘッドレスト部分が独立したバケットタイプとなり、シートピッチは1700oと急行型車両を大きく凌いでいる。また、ヘッドレストが白いビニール製となった他、座席両側に肘置きが設置されている。このシートピッチ拡大に伴い扉横のロングシートは廃されているが、代わりに車端部がトイレ横を除いてロングシート化されている。一部編成は福知山電車区に配属され、福知山線で運用されたこともある。1991年の七尾線電化に併せ全車金沢総合車両所に転属し、金沢〜津幡間及び七尾線の電化区間で運用を開始した。なお、七尾線では専用塗装を纏っていたが、福知山所属車両は当初福知山線の標準色に塗られていた。七尾線では普通列車を中心に、前述の急行運用投入を見据えたアコモデーションに改良されたことから、2001年までは急行「能登路」のうち金沢〜和倉温泉間の列車にも充当された。また、金沢以西では小松まで定期運用が存在した。片側3扉の交直流電車であるという車両特性から、21世紀に入り1960年代に製造された他の車両が経年等により次々と廃車されても2015年までは全車両在籍し、大半の車両が113系として製造されてから50年以上経過した。なお、2002年から側扉への押しボタンの設置、2010年から茜色一色への塗装変更がなされ(更に4編成は七尾線電化20周年記念で茜色の上に特別ラッピングを貼り付け)、更に側面表示器用枠の撤去、ベンチレーター自体の撤去、非常用灯具のLED化など、晩年に至るまで後天的な改造が続いた。2015年3月のダイヤ改正で、一部の運用に413系が充当されることになったため2編成が運用を離れ廃車されたが、それ以外の9編成は2020年になっても運用され、JRグループでは最も古い営業運転用車両となった。しかし同年9月よりICカードリーダーを車内に搭載した521系100番台の投入が始まり、翌2021年3月のダイヤ改正で七尾線のICカード導入と共に全車521系100番台に置き換えられて運用を離れた。基本的には金沢総合車両所に回送されたが、一部は吹田総合車両所に回送されている。

 2016,07,09 東金沢


■Variation
 七尾線電化20周年を記念し2011年より記念ラッピングが施された編成。3編成にそれぞれ異なるテーマのラッピングが施された。このうちC06編成には「UFOのまち羽咋号」というタイトルでラッピングが施された。ラッピング当初は記念ヘッドマークも取り付けられていた。

 2011,08,01 野々市〜西金沢
 C08編成は「和倉温泉わくたま号」というタイトルでラッピングが施された。なお、ラッピングを纏った編成はこの他に2本存在した。ヘッドマークの掲載終了後もラッピングは次回検査時まで維持され、最長で2017年まで見ることができた。

 2016,07,09 森 本
 旧塗装時代の415系800番台。制御車は能登の海をイメージした青色と能登の大地をイメージした灰色の2色構成の間に白いラインが配されていた。中間車は向田の火祭りをイメージしたピンク色と灰色の2色を基調に、間に白いラインが配されていた。2010年から茜色1色への単色化が進み、2012年には見られなくなっていた。

 2011,08,01 金 沢
2021/08/04