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2014年登場。老朽化の進んだ3000系の置き換えを目的に導入された車両で、一畑電車ではその3000系以来18年ぶりに導入された新形式車両である。種車は東急電鉄を廃車となった1000系で、元々東横線で日比谷線直通運用に使用されていた車両のうち、中間車が種車となっている。2両で1編成を組み、中間車を種車としたことから運転台が新設されており、その造形は既に譲渡されていた伊賀鉄道200系の一部車両に類似した非貫通型構造となっているが、前照灯の位置が変わっており窓上に設置されている。また冬期の降雪等に考慮し、下部にはスノープラウを併設した大型のスカートが取り付けられている。東急1000系は元々軽量ステンレス製の無塗装車体に赤い帯が配されたものであったが、一畑電車ではフルラッピングが施されており、最初に導入された2編成は、公募によりデハニ50形に類似した、オレンジベースに白帯を配したデザインとなった。制御方式は東急時代のままGTO-VVVFインバーター制御方式で、回生制動も使用されている。なお、台車は1000系のオリジナルではなく、東急9000系の廃車発生品が流用されている。一畑電車にとっては、軽量ステンレス製車体・VVVFインバーター制御方式車両・ワンハンドルマスコン・更にはシングルアームパンタグラフに至るまで従来の車両にはなかった機軸であり、同車の導入により初めて採用されたものである。車内はロングシートであり、座席モケットも東急時代と変わりないが、ワンマン運転対応機器や液晶表示器、ベルト付き車椅子スペース等が新たに設けられている。またドア開閉用の押しボタンが各側扉に新設されており、長時間停車の際などに用いられている。1000系はまず2連2本の陣容で営業運転を開始し、同数の3000系を置き換えている。その後2015年に導入された1編成では灯具のデザイン・配置が変わっている他、ラッピングは2100系の「しまねっこ号」人気の高まりを受け、ピンク地に島根県のマスコットキャラクター「しまねっこ」等のイラストがあしらわれた「ご縁電車しまねっこ号U」となっている。この編成の導入で、更に2両の3000系を置き換えている。以降の増備は新造車両の7000系が担うこととなったが、前述のとおり1000系は数々の新機軸を導入しており、一畑電車に新風を起こした車両といえる。他の車両に交じり、主力車両の一翼として活躍している。基本的に特急・急行の運用には就かないが、特別運行として充当された実績もある。
2016,11,12 川 跡 |