2006年登場。2008年に開業する副都心線に向けて製造された、東京地下鉄としては初の新形式車両である。車体・車両性能及び車内の構造はそれまで最新だった05系13次車に準じ、同様に日立製作所の「A-Train」を採用しているが、東京地下鉄初の新車であることもあり、そのデザインは随所に営団地下鉄の名車のデザインを取り入れたものとなった。前面が大きく丸みを帯びたものとなり、5000系以来となる貫通扉を中央部に設置した。またライト形状は300形を意識した鍵穴状のものを採用し、更に銀座線の初代1000形で採用されていたトロンボーン調の警笛を取り入れた点などが挙げられる。副都心線用の車両として製造された事から、当初よりATOによる自動運転やワンマン運転に対応している他(1次車のみ追加対応)、08系と同じくワンハンドルマスコンハンドルを採用している。車内は黄色を基調とした暖色系でまとめられ、貫通扉に全面ガラスドアを採用することで開放感のある車内となった。蛍光灯配置も変わったが、初期車では間接照明風に天井の凹みに設置したところ照度不足が指摘され、後に改善された。各扉上には東京の地下鉄車両では初めて液晶の表示器が2基取り付けられ、旅客サービス向上が図られている(1次車のみ、当初は1基のみの搭載となっていた)。また万一の火災発生時に有毒ガスを発生しないよう、内装材に工夫が凝らされているのも特徴となっている。10000系は2006年9月に有楽町線で営業運転を開始し、当初は副都心線開業までに10連20本の製造が計画されたが、計画の変更によって更に16本多い36本が製造されることとなり、一部の7000系を置き換えて一躍有楽町線・副都心線において最も本数の多い主力車両へと成長した。現在は有楽町線・副都心線及び直通先の東武東上線・西武池袋線で活躍しており、更に2012年9月より翌年3月の直通運転開始を前に東急東横線・みなとみらい線でも営業運転を開始し活躍範囲が広がっている。 2009,02,09 中村橋 |
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