1000形
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 1927年、後の銀座線の一区間となる東京地下鉄道の開業に合わせて製造された、日本初となる地下鉄車両である。「東洋初の地下鉄」という当時の触れ込みのとおり、日本において地下鉄車両は前例がなかったため、当時としては最先端の技術をつぎ込んだ車両となった。車体は不燃化対策から当時としては非常に珍しく全鋼製車体が採用されており、当時発達段階であった溶接技術から、リベットを多用した車体となっているのが特徴である。また外観は地下でも明るく感じさせるべく、ベルリン地下鉄を参考にしたレモン色を基調に屋根部分を臙脂色に塗装された姿となった。全鋼製車両であるため車内も鋼製であるが、当時一般の電車は木製及び半鋼製車両が多かったことから木目調のプリントがなされている。全線が地下であることから不用意に乗客が車外に出ないように乗降扉は自動扉となり、更に照明には間接照明が採用されて過度にまぶしくならないよう工夫がされている。駆動方式は釣り掛け駆動方式であり、主電動機や制御器はGE製、台車は国産のものが採用された。また当時としては最先端の保安装置である打子式ATSを導入し、最大限の安全確保にもつとめている。1929年までに21両が製造され、黎明期の銀座線における主力車両となった。同線が営団地下鉄の路線となり、更に戦後を迎えてからも活躍を続けたが、製造から40年が経ち2000形・1500N形といったカルダン駆動車の台頭によって運用を追われ、1968年には営業運転を終了している。その後丸ノ内線小石川車両基地の入れ替え用に2両が残されたが、1974年には廃車された。尚、車両自体の譲渡はないが、現役時代には台車交換がなされており、余剰となった同車の台車が、京急を始め複数の会社へと渡っている。現存する1001号車は当初交通博物館に静態保存されていたが、営団地下鉄が1986年に地下鉄博物館を開館させるとそちらへと移動されることとなり、以降現在に至るまで同地で保存されている。2017年には、日本初の地下鉄車両であると共に後の地下鉄車両の礎を築いた車両として、所謂「電車」としては初めて国の重要文化財に指定されている。

 2022,06,29 地下鉄博物館


2022/07/10