03系
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 1988年登場。当時の営団地下鉄では東西線の冷房化用に05系となる車両を開発していたが、輸送力が逼迫しつつあった日比谷線の輸送力増強を目的に、急遽先んじて日比谷線に増発車両を投入することとなったこの時新たに投入された車両が03系である。従来車の3000系はセミステンレス車体であったが、こちらは軽量アルミ合金製の車体となっている。前面デザインは3000系を意識し、丸みを帯びたものとなった。全編成とも直通先の東急・東武双方の保安装置を搭載し、共通して使用できるようになったことで、3000系で見られた運用の煩雑さが解消されている。また本形式の特徴として、日本で初めて本格的な車両制御情報管理装置(TIS)を導入したことが挙げられる。これにより車内配線の軽減や乗務員支援の効率化などが実現され、後のTIMSやTICSにも繋がるものとなっている。車内はロングシートで、カラースキームはベージュをベースに床にオリーブ色を取り入れモケットは茶色となる等、全体的に落ち着いた色合いとなっている。また当時の営団車として初めて車内案内表示器を当初から導入しており、サービス向上が図られている。初期車の制御方式は01系などと同様にGTO素子を用いた高周波分巻チョッパ制御方式で、少ない電動車比率で全電動の3000系と同等の加速度を確保している。1989年以降は本格的に3000系を置き換えるべく増備が進み、1994年までに8連42本が投入されると日比谷線車両は03系のみとなった。尚、ラッシュ時の輸送対策では東西線05系は一部車両がワイドドアとなったが、こちらは一部編成の両端2両が5扉となり、ラッシュ輸送に備えている。この他表示器のLED化や制御方式の変更(後期車は07系等と同様IGBT-VVVFインバーター制御方式を採用)など、投入時期によってマイナーチェンジが多々生じている。1994年に日比谷線が03系に統一されて以降、日比谷線脱線事故による代替新造を除いて近年まで大きな変化もなく推移してきたが、2012年になりチョッパ制御方式の初期車がIGBT-VVVFインバーター制御車へと改造される修繕が開始されている。尚、修繕とは別に床材の交換や座席のバケットシート化・モケット交換等は順次なされている。このような変遷を経ながら、菊名〜東武動物公園間の広範囲で使用されていたが、2013年3月に東急東横線との直通運転が取りやめられることから、鷺沼工場での検査時を除き東急線を走る姿が見られなくなる代わりに南栗橋まで直通するようになった。2017年まで全編成在籍していたが、後継の13000系が製造されたことで、順次置き換えが進められ、2020年2月末に全編成の営業運転が終了した。廃車後、一部の車両が長野電鉄、北陸鉄道、熊本電鉄の各社に譲渡されている他、第1編成の一部は新木場CRに移送されている。

 2012,01,27 大 袋


■Variation
 1990年に製造された03109F以降、ラッシュ時における輸送対策で前後4両が5扉となった。これは地下鉄線内の駅で出入口が前後に位置することが多いことが要因であり、東武鉄道でも20050系が同じく5扉が採用されている。尚、5扉車は中間の2つの扉を締め切れる機構があり、主に整列乗車を行う場面でその機構が発揮される。

 2013,09,29 大 袋
 1992年に製造された5次車からは行き先表示器がLED表示となった。このグループまで高周波分巻チョッパ制御方式が採用されている。

 2012,02,10 新丸子
 1993年に製造された6次車からは制御方式がIGBT-VVVFインバーター制御方式となった。運転台左下に「V」というステッカーが貼ってあるのが外観上の差異である。また、5扉車はラッシュ時に必要な20本が製造された所で増備が終了しており、以降に製造された車両は再び全車3扉に戻っている。このためIGBT-VVVFインバーター制御車で5扉車を連結している編成は3本のみ在籍している。尚、チョッパ制御方式の車両は他社線内では自動放送・車内案内表示器が対応していない(行き先のみ表示)が、VVVFインバーター制御車に関しては東武線・東急線を含め対応している。

 2013,09,29 せんげん台

2020/08/16