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851系は老朽化した釣り掛け駆動の501系置き換えを目的に、1989年以降に竣工した通勤型車両である。元は西武鉄道の701系で、2M1Tの3連を組むが、富田方の制御電動車については中間電動車に他車の運転台を取り付けて先頭車化改造が行われている。西武701系は後年電動車がコイルバネ台車、制御車が空気バネ台車を搭載していたが、空気バネ台車については他形式に流用されたことから、制御車についてもコイルバネ台車に換装されている。譲渡の時点で冷房化されており、本形式の第1編成は三岐鉄道の車両としては初めての冷房車となった。塗装は三岐鉄道標準の黄色とオレンジのツートンカラーに塗り替えられたが、前面はオレンジ色の占める割合が既存車両よりも高くなっている。側扉は西武時代の途中でステンレス製に換装されており、ステンレス製扉についても三岐鉄道では初採用となった。前述のとおり待望の冷房車両として導入された801系だが、第1編成導入後は2連を組む101系の導入も並行して進み、801系の追加増備は1992年に1本、1997年に1本行われて総勢3本となった。なお、1997年に導入された車両は制御車の空気バネ台車は換装されずにそのまま譲渡されたことから、制御車については851系に付番されている。このため801系としては8両の陣容となっている。他社で元西武701系等の淘汰が進む中でも全車とも在籍しており、主力車両の一翼として使用されている。近年は西武鉄道時代の塗装へのリバイバルが進んでおり、その点でも注目される形式となっている。
2008,03,17 伊勢治田 |