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1963年登場。通勤型気動車として製造されたキハ35系に属する車両の一つである。外吊り式の両開き扉を片側に3つ設けた車体・貫通切妻型の前面は共通であるが、他の車両とは異なりこのキハ30形は両運転台構造となっている点が特徴となっている。キハ35形とは異なり同車の車内にはトイレは設けられていないため、名実ともにオールロングシート車両となっている。ただし両運転台構造であるため、定員は他のキハ35系に比べて少ない。キハ30形は1966年まで製造が続いた0番台100両と、1964年・1965年に製造された寒冷地用の500番台6両の計106両が製造されている。このうち寒冷地用の500番台はベンチレーターが押し込み型になっており(0番台はグローブ型)、スノープラウやデフロスターといった寒冷地での使用が考慮された設計となっている。キハ30形は0番台が関西本線系統を皮切りに関東・関西地区に、500番台が新潟地区の通勤路線(越後線等)に投入され、両運転台構造故、通勤時間帯の増結等に使用されることが多かった。当初は通勤路線を中心に投入されたため、3扉ロングシートという同車の特徴が遺憾なく発揮されたが、投入された線区が電化されるにつれ、長距離運用等にも投入されることが増えた。1969年に1両が事故廃車された以外は大半がJR北海道以外のJRに継承されたものの、老朽化及び投入線区においてロングシートが相応しくない路線が増えたことから順次置き換えられて廃車が進み、1996年以降はJR東日本の久留里線に在籍する車両のみ残った(ただしJR東海では1両が保存目的で車籍を有していたが2008年に除籍されている)。因みに、1980〜1990年代に廃車された車両の一部は、筑波鉄道・関東鉄道・会津鉄道にそれぞれ譲渡されている。久留里線に最後まで残った3両はいずれも0番台で、車体更新やカミンズ製のエンジンへの機関換装がなされていたものの、最後まで非冷房のまま存置された。久留里線のキハ30形は21世紀を経て2012年12月まで現役で使用されたが、キハE130形100番台に置き換えられて運用を離脱しており、これによりJR線上からは姿を消している。なお、この3両のうち1両はいすみ鉄道に譲渡されて国吉駅構内で動態保存、2両は水島臨海鉄道に譲渡され、うち1両が同社のキハ30形として再起している。
2005,04,08 横 田★ |