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1999年登場。観光列車としてトロッコ列車を走らせるに辺り、JR東日本で八高南線電化の際に余剰となっていたキハ30-18号車を譲り受けた上で、新潟鐵工所にて改造したもので、日本宝くじ協会寄贈の「宝くじ号」であると共に、日本初の自走式トロッコ車両である。外観は種車の面影を残しているものの、会津高原方の扉・戸袋窓を除き、既存の側扉・側窓が撤去され、オープン構造となっている。転落防止用に柵が取り付けられている他、冬季や雨天時を考慮し当初より側窓を取り付けることが可能となっている。塗装は既存の車両とは異なり黒と黄色のツートンカラーとなり、上部にも黄帯が配されたものとなった。車内は基本的に木目調に改められており、座席はボックスシートとなり、各座席間にはテーブルが配された。また車端部には車いすスペースも備えている。既存の天井は剥がされ、骨組みが露出しているところもあるが、簡易プラネタリウムとなる天板が貼り付けられた。室内灯については白熱灯調のものが採用されている。大きく改造された車体の反面、元々JR東日本時代に機器換装が行われていたこともあることから、走行機器類は基本的に種車のものを活用した。なお、機関はカミンズ製で、出力は250PSとなっている。AT-300形は1999年4月に営業運転を開始し、当初はトイレ付のAT-150形と編成を組んだが、翌年からお座敷改造されたAT-103号車共々「お座トロ列車」として使用を開始し、会津鉄道における新たな観光列車として定着した。2003年からはAT-400形を加え3連で使用されており、この時期には阿武隈急行に貸し出されて宮城県内でもその姿を見ることができた。同車は日本初の自走式トロッコ車両かつキハ30系列の生き残りとしても貴重な存在であったが、元の製造から40余年が経過し老朽化が進んでいたこともあり、新造のトロッコ車両AT-350形によって置き換えられることとなり、2009年11月に運用を離脱し廃車された。廃車後は芦ノ牧温泉駅構内に静態保存されている。
2017,10,01 芦ノ牧温泉 |