113系700・2700番台グループ
トップページ鉄道写真図鑑JR通勤・近郊・一般型電車>113系>700・2700番台グループ
113系700・2700番台G・1500番台5300番台JR四国車
 113系の700番台は、1974年の湖西線開業に合わせて同線の直流電化区間における普通列車用に製造されたグループである。湖西線は関西と北陸を短絡すべく、文字通り琵琶湖の西岸を経由しながら山科〜近江塩津間を走行する路線で、当初は永原〜近江塩津間にデッドセクションが設けられていた。湖西線は全区間立体交差で建設されており、勾配路線ではないものの、特に近江今津より北の区間は比較的寒冷かつ降雪地帯を走行することから、113系でありながら耐寒・耐雪構造となっている点が最大の特徴である。車体は1972年以降に製造された1000番台後期車(横須賀・総武快速線用)を基本とし、当初より冷房装置を搭載した他基本高架線を走行することから当初よりトイレに汚物処理装置が設けられている。前述のとおり耐寒・耐雪に重きが置かれたことからタイフォンがカバー付きとなった他、スノープラウが設置され、側扉が半自動構造となるなど、115系の新製冷房車である300番台に近い姿となっている。なお、当初の車体色は所謂「湘南色」で、塗り分けは他の113系と同じ塗り分けである。700番台は1976年までに4連9本と6連8本の84両が製造され、湖西線の運用に就いた。1980年に草津線が電化されると湖西線と運用が共通化され、700番台が草津線にも充当されるようになるが、車両拡充のため増備車も製造されることとなった。この時製造された車両は700番台をベースとしつつもシートピッチ改善などのマイナーチェンジが施されたため、2700番台に区分されている。2700番台としての新製車は12両で、1984年のダイヤ改正で短編成化及び運転頻度の拡大がなされた際には、不足する先頭車の補充で2000番台を改造のうえ2700番台に編入している。全車ともJR西日本に継承されており、本番台は117系と同様最高時速を110km/hに引き上げることになり、増圧装置、応荷重装置等の追設がなされた。改造施行車は原番号+5000番台に区分されたことで700番台は5700番台、2700番台は7700番台に改番され、最終的に全車に波及した。1998年からは一部の車両に体質改善工事が施工された他、2003年の小浜線電化に際して本区分の一部が同線に転用され、前後して113系2000番台から12両が耐寒耐雪化のうえで本区分に編入されている。2007年からは湖西線の普通列車に223系も投入されるようになり、余剰となった車両の一部が広島、岡山に転属しているが、大半の車両は2012年までに廃車された。2021年初頭の時点では京都総合車両所にに4連16本が在籍しており、湖西線と草津線を中心に充当されている。なお、一部の車両は2002年以降前面窓部分が金属補強されており、印象が変わっている。

 2017,09,23 唐 崎


■Variation
 体質改善N40工事が施された車両は屋根が張り上げ屋根となり、側窓も換装されたことで、大きく印象が変わっている。半自動扉機構も開閉用の押しボタンが新設されている。このL15編成は小浜線電化開業に合わせて体質改善工事が施工されており、数少ない5700番台の体質改善車が連結されている。2003年から2006年までは福知山に在籍し、小浜線で運用されていた。小浜線用の115系は独自塗装を纏い、4連3本が在籍していたが、125系の増投入により2009年までに全て撤退している。

 2017,09,23 唐 崎
 湘南色を纏っていたL2編成。この編成はトップナンバーで組成されていた。元々体質改善工事未施工車は湘南色、体質改善工事施工車は専用塗装を纏っていたが、2010年からの地域色への統一に伴いこれらの色を纏う車両は漸次減少した。この編成は体質改善もなされず、屋根上のベンチレーターも存置される等比較的原型をとどめていたが、塗装変更されることなく2010年に廃車されている。

 2008,08,05 貴生川
 体質改善N40または体質改善N30が施されていた車両は当初薄茶色を基調として窓周りを茶色に塗装し、更に窓下に青帯が入れられていた。俗に「カフェオレ」と称される塗装で、未施行車と区別されていたが2010年からの地域色への統一に伴い漸次塗り替えが進んだ。

 2008,08,05 貴生川
  「SHINOBI-TRAIN」」として忍者に因んだラッピングが施されたL6編成。「草津線利用促進プロジェクトチーム」により手掛けられたもので、忍者ゆかりの伊賀と甲賀の双方を経由する草津線沿線のPRが図られている。同種のラッピングは、草津線と貴生川で接続する信楽高原鐵道のSKR310形1両にも施されており、それぞれ注目を集めている。このラッピングは2021年6月まで施されていた。

 2019,11,22 京 都
 下関総合車両所のR-06編成において下関方先頭に連結されていたクハ115-759、この車両は元々クハ111-759と113系700番台の出自である。5700番台に限らず、京阪神地区で余剰となった113系の一部は岡山や広島に転属しているが、更にそこで余剰となった編成の制御車の一部が、115系の老朽化した制御車を置き換える目的で、115系への編入改造(主幹制御器を交換し、抑速ブレーキに対応)を施されたうえで115系に組み込まれた。この113系改造の制御車が連結された下関の115系はR編成と区分されたが、このうち700番台を出自とする車両は本車が唯一となった。元々前面窓枠が金属枠で補強されており、広島地区では異色の存在となっていたが、2015年3月に編成が解かれてそのまま廃車されており、2年ほどで見納めとなった。

 2014,12,30 広 島
2021/07/07