WKT-551形
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 2012年登場。わたらせ渓谷鐵道では1999年からDE10形わ99形による「トロッコわたらせ渓谷」を冬季をのぞき運転しており人気を博していた。しかし同列車は機関車が客車を牽引するスタイルであったため、機回し線のある大間々〜足尾間での運転が大半となって桐生・相老への乗り入れはプッシュプルで行われることが稀にある程度であった。更にトロッコ車両には窓がないことから冬季の運転は困難であり、結果として通年の運転は不可能となっていた他、シーズン中のトロッコ列車はツアー客の利用も多いことから常時満席で、単純な列車増発も求められた。これら問題を解消し、通年に渡り桐生や相生と間藤を結ぶトロッコ列車を運転可能とすべく開発された車両がWKT-551形であり、わたらせ渓谷鐵道では初の自走式トロッコ車両となっている。同車は新潟トランシスで製造されており、車両性能や外観のデザインは前年に登場したWKT-501形に準ずる点が多い(何れも両運転台となっており単独走行が可能である)。しかし前述のとおり「自走式トロッコ」として製造されたことから側窓部分は非常に大型化された他着脱可能とされており、転落防止用の保護も取り付けられている。これにより、通常期においては窓を外すことで完全なトロッコ車両としての運転が可能となった。更に小さいながら天窓も設けられたことによって、上部の眺望も確保されている。車内も他の気動車とは異なっており、難燃木材を使用したボックスシート(ベンチシート)とテーブルが展開している。また、間藤方先頭部には車いすスペース及び車いす対応トイレ・自由に操作可能な模擬運転台が設けられ、桐生方先頭部にはグッズ販売スペースが設けられる等、バリアフリー対策や観光用の設備も充実している。これらの設備の関係で乗降扉は間藤方に1か所しか存在しない。尚、他の車両と異なり通常の単独運用に投入されることはないため、車内案内表示器には運賃表示器が併設されていない。同車は2012年4月より営業運転を開始しており、同車を使用するトロッコ列車は「トロッコわっしー」と名付けられた。以降わたらせ渓谷鐵道のトロッコ列車は従来の「トロッコわたらせ渓谷」を交えた3往復体制となり、また機回しの不要なWKT-551形を使用することで桐生〜間藤間を通し運転するトロッコ列車も定期運用で登場した。通常は他の気動車を連結した2両で運転されており、当初はWKT-501形が伴車となっていたが、2013年からはWKT-511形がその任にあたっている。尚、車両性能やブレーキの違いからわ89-310形以前の従来車とは併結運転は行えない。

 2013,11,23 大間々