8100系は1988年の阿武隈急行線全線開通及び電化に際し、その前年の1987年より製造された交流電車である。従来、JR線以外の私鉄では交流電化の区間が存在しなかったが、阿武隈急行線は全区間交流電化となったことから、同区間を走る8100系はJR以外の車両では初となる交流専用車両となった。国鉄型車両に準拠した全長20mの普通鋼製車体であり、福島方からAM8100形(制御電動車)、AT8100形(制御車)を組んだ2両編成を組む。直通運転を予定していたJR東日本の417系等と同じく片側は2扉となっているが、当初よりワンマン運転が考慮された設計となった結果、後部扉は両開きであるのに対し前部扉は片開きとなり、また乗務員室背後に設置されているため独特な扉配置となった。また前面は切り欠きを有した立体的なものとなり、窓周りの黒色塗装化や前照灯・尾灯の一体化したケーシングの採用など、同型のJR417系とは異なった印象となっている(尚、行き先表示器に関してはJR車と同一の電動方向幕を採用している)。制御方式はJR九州に在籍している713系のものをベースとしており、サイリスタ位相制御方式が採用されている。台車は同時期に製造された他の車両に準じてボルスタレス台車を搭載しているが、回生制動は採用されていない。車内はボックスシート主体のセミクロスシートとなっており、車両を結ぶ貫通路が東京メトロ6000系等で見られるキノコ型となっている点が特徴となっている。尚、トイレはAT8100形に設置されているが、扉背後や車端部ではなく、前部扉背後に設置されたロングシートの後ろに設置されている。8100系は2連9本18両の陣容となったが、全車とも日本車輌で製造された。全線開業なった阿武隈急行における主力車両であり、また2008年にA417系が登場するまでの長きにわたり、阿武隈急行の車両は同形式のみであった。現在はドア開閉用押ボタンの設置や自動放送の換装等、後天的な改造も行われているが、基本的な形態は登場時のまま推移している。2連での単独運用の他、ラッシュ時には2編成併結した4両での運転も見られ、またJR東北本線にも乗り入れ仙台までの定期運用も担う。全線開通より主力車両として活躍してきたが、製造から30年近く経ち、老朽化に加え保守性に難が生じるようになったため、2018年度より新型車両導入に伴い置き換えが始まることになった。 2013,10,19 槻 木 |
■Variation |
行き先表示器のLED化された8100系。2014年より全編成を対象に行われている。 2017,06,25 保 原 |
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A-9編成は、2016年より「伊達なトレインプロジェクト」として、ご当地観光アニメ「政宗ダテニクル」のラッピングがなされている。全面的に青基調となっており、阿武隈急行の車両としては異彩を放っている。 2017,06,25 大 泉 |