MC7000形
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 えちぜん鉄道では、会社発足後に新たに導入したMC6001形やMC6101形の他、京福電鉄から継承した元阪神車が幅を利かせていた。その殆どは冷房化されていたものの、車体・下回りを含め製造から半世紀が経過している車両であり、老朽化が顕著となっていた。この元阪神車を置き換える目的で2013年に登場した車両がMC7000形である。元は1982年以降に製造されたJR119系であり、2012年までに全廃となったうち、インバータークーラーを搭載しワンマン運転に対応していた5300番台が改造の上で譲渡されている。改造は大阪車輌工業で施されており、改造前と比べて側面の形状は種車と然程変わらないものの、前面形状は大きく改造されている。運転台の位置が従来と比べて下げられており、それにあわせて前面窓が拡大されている他、灯具配置はMC6101形に即した配置となり、全てLED灯が用いられた。ただし尾灯の位置は種車と変わらず、丸形のままとなっている点も面影を残している。行き先表示器もMC6001形等と同じ位置に移設されており、また車体塗装は他のえちぜん鉄道と同じものへと改められた。集電装置はシングルアームパンタグラフとなり、更に各編成とも1台増設されている。制御装置は刷新されており、えちぜん鉄道では初めてとなるIGBT-VVVFインバーター制御方式が採用された。制御装置はダイオードに炭化ケイ素素子を採用したハイブリッドSiCモジュールが導入されており、日本国内の鉄道としては試験的に搭載された東京メトロ01系に次いで2例目で、初めて本格採用した車両がこのMC7000形となる。ただし制動方式は従来の電磁直通ブレーキを堅持しており、台車も種車のコイルバネ台車をそのまま流用している。尚、同車は2両1編成となっているが、種車と同じく1M1Tの構成となっており、福井方がMC7000形、勝山・三国港方がTC7000形と形式がつけられている。電動機を持たない制御車はえちぜん鉄道では初の導入となっている。車内はセミクロスシートで、基本的なレイアウトは119系時代と変わっていないが、化粧板やモケットが全て張り替えられている他、トイレは撤去され、その跡はフリースペースとなっている。また、ワンマン運転用の機器は換装されており、運賃表示器を兼ねた液晶車内案内表示器が新設されている。尚、元々119系5300番台につけられていたドア開閉用押しボタンは撤去された。MC7000形は第1編成が2013年2月に営業運転を開始し、翌年までに2連6本の陣容となりすべての元阪神車を置き換えた。これに伴い、MC5001形を除きえちぜん鉄道の旅客車両は同社発足以降の車両で占められることとなった。各線において主力車両の一つとして活躍している。

 2016,07,10 福 井


2021/07/29