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2014年登場。大井川鐵道では、かつて在籍していた1100形のような、両運転台で単行運転が可能なステンレス製車両の導入を検討していた。おりしも2012年に廃線となった十和田観光電鉄では両運転台に改造されていた元東急の7200系が2両在籍し、廃線後も七百の車庫内で留置されていた。条件と合致していたこの2両に白羽の矢が立ち、導入される運びとなった。前述のとおり十和田観光電鉄の7200系は2両の在籍で、いずれも制御方式は抵抗制御方式、駆動方式は中空軸平行カルダン駆動方式だが、電装品のメーカーが異なっており、7204号車が日立製、7305号車が東洋製となっている。譲渡に際しては、外装・走行機器類は十和田観光電鉄時代から殆ど変化がないが、保安装置が異なることからその換装がなされている。車内もロングシートのままで大きな変化はないが、座席間にスタンションポール及び点字シートが設置されている他、優先席付近の吊り輪が黄色いものに変更され、さらに従来は設置されていなかった液晶表示器やドアチャイム(チャイムはJR東海のものと同一)が新設され、乗務員室背後には車いす用スロープも設けられている。尚、十和田観光電鉄への譲渡の際に各車とも車椅子スペースが増設されており、この点は大井川鐵道でも引き継がれた。また、側窓の一部には電照式の行き先表示器が設けられ、車内から所謂「サボ」を差し込むことで行き先を電照表示できるようになっている。これらの車両改造は、近鉄車両エンジニアリングの手により新金谷車両基地内で行われている。東急から十和田観光電鉄、そして「第三の人生」ともいえる大井川鐵道に渡った7200系は2015年2月から営業運転を開始し、他の車両と同じくSL運行時などの多客時に運転される臨時急行にも例外なく使用されている。前述のとおり単行での運用も行える車両ではあるが、当面は千頭方から7204-7305と組まれた2両編成で運用される。
2015,09,22 新金谷 |