2100系5次車(THE ROYAL EXPRESS)
トップページ鉄道写真図鑑伊豆急行>2100系5次車(THE ROYAL EXPRESS)
2100系:1〜4次車5次車(通常仕様)・THE ROYAL EXPRESS
 伊豆半島の魅力発信を目的に、2017年から東急電鉄を運行主体として横浜と伊豆急下田を結ぶ新たな観光列車、クルーズトレインを運行することになり、同列車に使用するべく2100系5次車「アルファリゾート21」に大規模な改造を加えた車両がこの「THE ROYAL EXPRESS」である。本車の改造は自社線内ではなく東急電鉄の長津田車両工場で行われている(塗装等の外装は伊豆高原車両区で実施)。トータルデザインは水戸岡鋭治氏による。車体形状は種車からほぼ変わりなく、側扉もそのままとなっているが、塗装はブルーメタリックを基調に金色のロゴマークを配した装いに一新されている。定期列車等には用いられないため行き先表示器は撤去された他、窓上にもダミーの灯具が設置されている。車内はランクを「ゴールドクラス」「プラチナクラス」に分け、それらが各2両となっている他、「プラチナクラス」向けの食堂車が2両、それにキッチンカーとマルチカー(多目的ルーム)が各1両となっている。それぞれ主に用いている木材が異なるため1両ごとに趣の異なる内装となっている。なお、「ゴールドクラス」の一部はこの手のクルーズトレインとして珍しく「親子で旅を楽しむ」をテーマとしており、ファミリーシートやボールプール等も備えられている。当然ながらサニタリースペースも全面的に改造されており、一部は車いす対応となっている。本車はこれまで水戸岡氏が手掛けてきたJR九州のD&S列車やしなの鉄道の「ろくもん」等で採用された工芸、技術、インテリアなどを惜しげもなく取り入れており、JR九州の「ななつ星in九州」と並び水戸岡デザインの集大成といえる車両に仕上がっている。本車は8両すべてを改造しているため、1編成当たりの定員は100名と所謂「クルーズトレイン」と称される車両の中では最も多い。THE ROYAL EXPRESSは2016年から翌年にかけて前述のとおり東急長津田車両工場及び伊豆高原車両区で改造が行われ、2017年7月から営業運転を開始した。本車の運用は東急電鉄が主催の上で伊豆急行の車両を貸し切りJR線・伊豆急行線を運行するという形態であり、それ故団体専用列車という扱いとなる。通常時は横浜と伊豆急下田を往復する形で運行されているが、2020年の夏〜秋シーズンからは北海道内でのクルーズトレインとしても使用されるようになり(そのために東急では電源車としてJR東日本からマニ50形を授受し改造している。北海道への移送時、北海道での運用は機関車牽引で本車は客車扱い)、以降毎シーズン北海道内でも営業運転を行っている。更に2024年冬からは四国・瀬戸内エリアに向けたクルーズトレインとしても使用されており、こちらも予讃線内のトンネル断面の関係で客車扱い(編成は5両に減車)となっている。同年秋からはJR東海管内でもクルーズトレインとして充当されるようになる(こちらは全区間自走)等、その活躍範囲は関東・伊豆にとどまらず北は稚内から南は松山までと全国に渡っており、一私鉄車両としては最も乗り入れた範囲の広い車両と言って過言ではない。

 2018,04,21 伊 東


2025/03/29