2100系1〜4次車
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2100系:1〜4次車・5次車THE ROYAL EXPRESS
 1985年登場。開業から20年以上経過し、経年を迎えつつあった100系の置き換えと、当時減少傾向にあった伊豆急行線の観光誘致における起爆剤たりうる車両として開発されたものである。元々100系の更新は1000系の増備で対応する予定であったが、前述の目的もあり方針を変更し、それまでの鉄道車両とは異なる方向性の観光客向け車両として「21世紀へ進む鉄道車両へのひとつの提案」というコンセプトのもと開発された経緯から、「リゾート21」という愛称を持つ。車体は普通鋼製だが、眺望性を重視したデザインとなっている点が特徴で、前面は大型ガラスが採用されており、また前頭部がシアター状の展望席となっている。側面は海側と山側で窓配置が異なっており、海側が連続固定窓、山側は座席単位に設けられた内折れ式の窓(海外の鉄道車両にみられるが、当時の日本ではほぼ採用例のないもの)となっている。塗装も海側と山側で異なっており、海側が赤と白、山側が青と白を基調とし、途中に「21」をあしらった模様がつけられたものとなり、前面は3色のトリコロールカラーとなっている。前照灯・尾灯及び方向幕は窓下に一列に配置されており、尾灯の下にフォグランプが設けられている。左右の塗装・車体形状まで異なる車両は非常に珍しいといえ、これらの要素により、現在からみても色褪せない斬新な車両に仕上がっている。普通列車への使用を前提としている車両ながら側扉は1車両につき1ないし2か所かつ片開き式で、扉付近にはデッキも備えておりさながら特急型車両のようないで立ちである。制御方式は抵抗制御方式で、初期に製造された2本については100系の廃車発生品を流用しているが、勾配の多い伊東線・伊豆急行線における安定走行の観点から抑速ブレーキが追設されている。それ以外については走行機器も含めて新製されているが、車両性能はあわせられている。車内は前述の展望室が2+2人掛けの固定式クロスシートが階段状に配置されている。通常車の車内は山側が2人掛けのボックスシート、海側が4人掛けのボックスシートと海を向いたベンチシートの組み合わせとなっており、海を臨むことに特化したといって過言ではない内装となっている。また1990年以降に特別車として用意された「ロイヤルボックス」車両(サロ2180形)はアーチ型の天井と2+1人掛けのリクライニングシート(1340oピッチ)が特徴で、かつ座席は向きを45度ないし90度変えられる仕様となっている。「ロイヤルボックス」ではトンネル通過時に天井に星空などが映し出されるスターダストルーフと称される機構を採用し、トンネル割合が高い伊豆急行線を楽しめるよう不空が凝らされている。2100系は1985年、1985年、1988年に7連各1本ずつが増備され、センセーショナルなデビューを飾った。とりわけ第2・第3編成は落成後一度長津田に甲種輸送され、田園都市線開業20周年などを記念したイベント列車として東急線で特別走行を行い大きな話題となった。1986年には鉄道友の会のブルーリボン賞を受賞し、伊豆急の新たなフラッグシップとなった。当初は熱海〜伊豆急下田間への普通列車のみ用いていたが、1988年4月に第3編成による臨時快速が東京発着で運行され、同年夏からは特急列車に格上げのうえ「リゾート踊り子」として土休日を中心に東京〜伊豆急下田間で走行するようになった。1990年には仕様が一部異なる編成が1本増入され「リゾート21EX」という愛称がつけられた。この編成から「ロイヤルボックス」が連結され、既存の編成にも後に連結され、これにより32両の陣容となった。その後1993年に更に仕様変更が加えられた第5編成「アルファリゾート21」が製造されており、この時点で2100系は全盛期を迎えることとなる。その後2003年のダイヤ改正では普通列車での「ロイヤルボックス」連結が終了し、特急運用時のみ連結されるようになったため、サロ2180形は原則運用を離れてしまった。また、海沿いを走行することで塩害による老朽化が進み、更に第1・第2編成は100系の機器流用車で経年が進んでいることから、8000系への置き換えにより第1編成は2006年、第2編成は2009年にそれぞれ運用を離脱し廃車された。サロ2180形も3両が廃車されており、第5編成を除くと第3編成の7両と第4編成の8両(通常時サロ2180形は脱車)が残る。2010年代後半以降は特急「リゾート踊り子」の設定もなくなっており、現在は熱海〜伊豆急下田間の普通列車で用いられるのみとなっているが、今もなお伊豆急行のフラッグシップであることには変わりない。

 2014,07,27 熱 海


■Variation
 1990年に増備されたR4編成はそれまでの車両と一部仕様が変更されたこともあり、「リゾート21EX」と称される。前面窓の仕切りがなくなり一枚ガラスとなった他、窓側・展望室の窓ガラスの複層化、空調カバーの連続化、集電装置の変更(こちらは下枠交差型パンタグラフ)一部内装の変更などがなされている。またこの編成から特別車「ロイヤルボックス」も同時に新製され、後に既存編成も追随している。この編成は2006年から黒と赤を基調とした「黒船電車」に外装を改めているが、これは2004年から同様の外装で運行されていたR1編成の引退に際しそれを引き継いだものである。

 2016,06,28 伊豆高原
 リゾート21の就航40周年を記念したヘッドマークがつけられたR4編成。登場時の塗装を模した大型のヘッドマークが搭載された。

 2025,09,12 伊豆高原
 キンメ電車となっているR3編成。元々この編成も2008年の運用離脱が予定されていたが、存続要望が高いことから検査及びリニューアルを行い延命した経緯を有す。2017年の検査の際に現在まで続くキンメ電車に改められており、金目鯛に因んだ赤基調として下部にかけて銀色のグラデーションが施された外装となっている。また前面の種別表示器はこの塗装となった際にLED式に改められている。

 2018,04,21 熱 海
 オリジナルカラーを纏う2100系。左右で異なる配色となっているものが前面でトリコロール調にまとめられるという、車体形状と共に年数が経過してもまったく色あせない斬新なデザインとなっていた。この塗装を纏う2100系は「黒船電車」への改装や編成の廃車により数を減らし、最終的には2011年にR3編成が塗装変更されたことで消滅している。

 2004,12,19 宇佐美★
2025/09/13