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伊豆急行が新造した2100系の中で、最後発となる1993年に製造された8両は、それまでの車両と大幅なイメージチェンジが行われており、愛称も「アルファリゾート21」と区別されている。車体はそれまでの2100系に比べてさらに丸みを帯びたデザインとなり、灯具類も基本的に丸形のものが採用されている。配色はトリコロールカラーを踏襲しているが、それまでの海側、山側での区分けではなく「ロイヤルボックス」を境に向きが反転する赤と青のストライプが交互に配されるものとなった。前面は伊豆急下田方が白と赤、熱海・東京方が白と青の塗装パターンとなっている。「ロイヤルボックス」のみ白塗装となっている。側扉は「ロイヤルボックス」が4枚折り戸であるのに対し、他の車両はプラグドアが採用されている。車両性能はそれまでの車両に準じており、制御方式は抵抗制御方式となっている。また東京への乗り入れを考慮し製造当初から保安装置としてATS-Pを搭載している。主幹制御器はツーハンドルだが、マスコンは横軸レバー型に変更されている。普通車の車内はボックスシートを主体とし、一部の号車の海側に窓方向を向いた座席が配された仕様となっており、それまでの「リゾート21」と比べて着席定員が増加している。海側の眺望性を高める点は本車でも変わらず、山側の座席が一段高くなっている他、海側のボックスシートは窓側の座席が通路側よりも下がった位置にあり、通路側からの眺望性を高めている。なお、側窓は山側も含めて全て固定窓となった。展望室はシアター状になっており、こちらの座席はテーブルの他カップホルダーがつけられている。いずれも天井は丸天井となり、天井部は間接照明となっている他、海側にはイラストがかたどられた照明も搭載されている。特別車両「ロイヤルボックス」は1+2人掛けのリクライニングシートが1340mmピッチで展開している。天井は丸天井でハイビスカスを模した飾り照明が取り付けられている。「スターダストルーフ」も健在だが、こちらは海底散歩をテーマにした演出が行われるようになっている。この「アルファリゾート21」は1993年7月から営業運転を開始した。熱海〜伊豆急下田間の普通列車運用の他、特急「リゾート踊り子」は本編成を優先的に用いるようになった。なお、本車の製造以降、伊豆急行の車両は現在のところ新造されていない。2003年のダイヤ改正からは普通列車では「ロイヤルボックス」の連結が外され、普通列車では7連、特急列車では8連で運用されるようになった。なお、基本的には東京〜伊豆急下田間で運行されるが、特別運転として中央線、青梅線、南武線に入線した実績もある。本車は元々前面に表示器類を設けていなかったが、後年LED式の運番表示器が前面窓上に設置された他、2007年にLED式の表示器が前面窓下中央に搭載されている。その後2016年2月には塗装変更がなされ白を基調に赤と青の帯を下部に巻いた比較的シンプルな装いとなったが、この姿で運用された期間は短く、同年9月を以て運転を終了し、以降は大規模な改造のうえ、「THE ROYAL EXPRESS」へと改められることになった。そのため、現在ではこの姿を見ることはできない。
2014,07,27 熱 海 |