コデ165形は、老朽化した先代の事業用車コデ66形の置き換えを目的に、モハ151形165号車を種車に事業用車へと改造した車両である。モハ165号車は、元々国鉄30系電車として1928年に落成したものであり、電装解除・改番等の改造を経つつ、1960年に相模鉄道に譲渡されて同社2000系の1車両となっていた。尚、相鉄譲渡時に車体更新が施行されており、丸屋根であったものが張り上げ屋根に変更されるなど形態に変化が生じている。しばらくは相鉄2000系として使用されたが、同社では6000系や7000系の増備に伴って活躍場所を追われ、1976年に伊豆箱根鉄道に譲渡され、大雄山線モハ151形の一員となった。尚、モハ165号車の場合、車籍上の種車は相鉄クハ2510号車(1928年製モハ30166号車に端を発する)となっているが、実際には相鉄モハ2024号車(1928年製モハ30145号車に端を発する)の車体が振り替えられているという、複雑な変遷をたどっている。伊豆箱根鉄道では、ラズベリーレッドとベージュのツートンカラーという、他の車両と同じ塗装に塗られ、同じく相鉄から譲渡された車両と3連を組んで大雄山線における主力車両の一つとして活躍したが、こちらでも新型車両5000系の登場で徐々に活躍の場を追われ、1996年に運用を離脱している(大雄山線では最後まで使用された旧型車である)。その後モハ165号車のみ両運転台化改造を始め、それに起因する機器の車内移設に伴う扉の埋め込みや一部座席・網棚の撤去等が行われ、事業用車として再起することとなった。この際にコデ165形と形式変更されているが、この「コデ」とは「工事用電車」の略称である。これに際し、塗装は黄色を基調に端部に青い稲妻模様が描かれた派手なものに改められている。尚、保安機器や補助電源装置は同車が置き換えたコデ66形のものを流用している。事業用車に改造されたコデ165形は、基本的に大雄山駅構内に常駐し、5000系の検査入出場時における牽引車として使用される(5000系の検査は駿豆線の大場工場で実施される)他、トム1形を牽引してレール・バラスト輸送に使用されることもある。大雄山線における「縁の下の力持ち」であると同時に、現在まで現役を貫いている旧型国電の生き残りとしても貴重な存在となっている。 2014,01,26 富士フィルム前〜大雄山 |
■Variation |
2018年に塗装変更されたコデ165。国鉄車両としての製造から90年経った節目の年の塗装変更であり、製造当時のぶどう色一色となった他車番表記も国鉄型の書体に準じたものに改められた。なお、コデ165となってからの塗装変更は今回が初となる。 2018,04,21 富士フィルム前〜大雄山 |