10系は1981年の烏丸線開業に際し、その前年より製造が開始された地下鉄車両である。開業当初は京都〜北大路間の単独路線であったが、当初より竹田までの延伸と以遠の近鉄京都線への乗り入れが予定されていたため、20m4扉と近鉄の通勤型車両と同じ幅・扉配置が採用されている。ただしこちらの車体はアルミ製であり、前面の形状も近鉄車両とは大きく異なる。初期車両の前面は当時製造されていた営団8000系に類似しており、くの字状に傾斜した形状となっている他正面左側に窓のない貫通扉を備えている。更に、前面が周囲より窪んだ所謂「額縁スタイル」を取り入れている点も営団8000系と同じであるが、こちらは前照灯が丸形2灯配置かつ上部への設置となり、尾灯と急行標識灯が一体化したが中央部に設けられている。また貫通扉・車番は緑色に塗装されている他、貫通扉にはスリットが入れられており、営団車両には見られない本車における外観上の特徴となっている。車内はロングシートとなっており、一部の車端部分に車椅子スペースが新設されている。日本の鉄道車両としては初めての設置であり、バリアフリー対策の先駆けとも言える。また、製造当初より冷房装置を搭載しており、車内サービスは当時の地下鉄車両でも先進的なものであった。当初は4連9本が製造された10系だが、延伸及び近鉄との直通運転開始に伴い増備が進み、最終的には北山〜国際会館の間が開業した1997年までの長きに渡り6連20本が製造された。1988年の竹田延伸時に中間付随車が2両増強されて6連となった他、同年に編成単位で製造された車両からはマイナーチェンジが施され、「額縁スタイル」が廃されて丸みを帯びた前面となった他、貫通扉には窓が取り付けられている。更に1997年に製造された車両は車内案内表示器が新設される等、製造時期により仕様変更が加えられている。尚、いずれの車両も制御方式は電機子チョッパ制御方式であり、東京都交通局10-000形と並んで最も遅くまで製造された電機子チョッパ制御車両の一つとなった。現在も烏丸線に乗り入れてくる近鉄車両共々主力車両として活躍している。近鉄線への乗り入れは当初新田辺までであったが、2000年のダイヤ改正で急行として近鉄奈良への乗り入れが開始され、奈良県内でもその姿を見ることができるようになった。尚、1988年製の3次車以降は2014年以降順次機器更新によりIGBT-VVVFインバーター制御方式へと変更されており、2020年までに全編成の更新が完了した。他方2次車までの9編成については2021年以降新型車両への置き換えがなされることとなっており、既に廃車が発生している。 2022,07,13 高の原 |
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