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北近畿タンゴ鉄道では、従来より特急列車及び特急型車両を使用した快速列車によって観光輸送を担っていた。この観光輸送の更なるテコ入れを図るべく、宮津線用に製造されていたKTR700形のうち2両を観光型車両として改造することとなり、2013年4月より営業運転を行うこととなった。白羽の矢が立ったのはKTR702号車とKTR708号車であり、702号車には「丹後あかまつ」、708号車には「丹後あおまつ」という愛称が付けられている。両車とも水戸岡鋭治氏によるデザインのもと、天橋立に代表されるように沿線に多く存在する「松」をテーマに内外装ともにリニューアルがなされた。このうち、「丹後あかまつ」は号車定員制となっており、赤を基調とした塗装が施されている。車内は木材を多用したものとなり、窓側を向いたテーブル席やカウンター席等を中心に配置することで、着席定員は比較的少ないもののより眺望を楽しめる内装に仕上がっている。モケットやカーテンは赤系のもので揃えられ対する「丹後あおまつ」は青を基調とした塗装が施されており、車内も同じく木材を多用したものとなっているが、こちらは料金不要で乗車できることから、ボックス席やセミコンパートメント席等を多く配置することで着席定員が増やされている。いずれの車両にも車販用のカウンターが車端部に設けられている他、水戸岡鋭治氏が手掛けた他の車両と同様随所に本棚やショーケースが設置され、「乗ることを目的とした観光型車両」を具現化した形になっている。これらの改造は大阪車輌工業にて施されているが塗装に関しては北近畿タンゴ鉄道で施されたため、工場からの輸送では白一色という珍しい姿で陸送されている。「丹後あかまつ・あおまつ」は2013年4月より営業運転を開始し、北近畿タンゴ鉄道における新たなフラッグシップとして活躍している。基本的には独立したダイヤで運行されており、奈具海岸や由良川では一旦停止及び徐行運転を行う等、沿線の景観を堪能できるようになっている。尚、当初は「あかまつ」「あおまつ」は基本的に併結しての運用となっていたが、2013年11月には新たなリニューアル車両である「コミューター車」が運用に就いたことから、「丹後あかまつ」はコミューター車との併結運転、「丹後あおまつ」は単独運用へと改められている。
2013,07,20 野田川 |