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1993年登場。従前快速「みえ」で使用されていたキハ58形・キハ65形の置き換えと体質改善を図る目的で製造された一般型気動車である。311系をベースとした両開き3扉の軽量ステンレス製(前頭部のみ鋼製)車両で、前面、側面ともコーポレートカラーであるオレンジと白の帯を巻く。一般的な気動車と同じく、1両あたりの車長は21.3mとなっている。併結を前提としたことから前面は貫通構造となっているが、311系よりも黒い部分が拡大している他、丸みのあるデザインとなっている。また本形式は1両単位での運用が可能で、併結を容易にするためJR東海の一般型気動車では初めて電気連結器が搭載された。平時は2両ないし4両を組成するが、最大10両での運転が可能となっている。快速「みえ」はほぼ全区間に渡って近鉄と競合しているため、高速性能に重きが置かれている。エンジンはキハ85系と同じく出力350PSのカミンズ製エンジンを1車両につき2基搭載し、台車はヨーダンパ付きのボルスタレス台車が採用されている。これにより最高時速は120km/hとなり、一般型気動車の中でも最速の部類に入る。制動もキハ85系と同様電気指令式ブレーキが採用されている。車内はシートピッチ940oの転換クロスシートを基調とし、扉付近、車端部のみ固定式クロスシートとなっている。全体的に311系に準拠したレイアウトだが、カラースキームが更に落ち着いたものとなっている他、中間扉付近には大型の仕切りが設置される等の差異がある。また、半自動扉開閉機構を備え、扉付近には押しボタンが設置されている。なお、カーテンはロールカーテンではなくプリーツカーテンが採用されている。0番台の車端部にはトイレが設けられているが、この時期に製造された車両では珍しく、当初より車椅子に対応した洋式トイレとなっている。トイレ向かいの座席は折り畳み式となっているが、折り畳むと車椅子スペースとなり、座席底面に車いす用の手すりやベルトが設置されている。また、311系同様トイレ前には当初公衆電話が設けられていた他、車内案内表示器が妻面に設けられ、デジタル時計が併設されていた。なお、床面高さが抑えられているため、側扉付近にステップは設けられていない。0・100番台それぞれ6両ずつの計12両が製造され、名古屋車両所に配置されて快速「みえ」を中心とした運用に就いている。他の番台と異なり全車とも一貫して名古屋に在籍しており、長年に渡り主力車両として活躍している。2000年以降には増備車に合わせてドアチャイムが新設され、2007年には公衆電話が使用停止・撤去される等の変遷があるが、基本的には登場時からのスタイルを貫いている。なお、2028年以降に後継となるHC35形が製造されるため、本系列は置き換えられる予定となっている。
2024,09,05 名古屋 |