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キハ75形のうち200番台・300番台は、快速「みえ」の増発と従前キハ58形・65形で運用されていた急行「かすが」の置き換えを目的に1999年に製造された番台区分である。0・100番台をベースとしているが、車両寸法が変更されており、車高が0番台に比べて約300o低くなっている。外観上の差異としては、貫通扉上にも前照灯が2灯追設されている点と、製造当初より白地の方向幕を搭載している点が挙げられる(0・100番台は当初黒地の方向幕で、本番台導入に併せて換装された経緯を持つ)。走行性能は0・100番台とほぼ同じで、カミンズ製出力350PSのエンジンを各車とも2基搭載し、最高時速120km/hでの高速運転が行えるが、こちらは改良により騒音軽減が図られている。車内は0・100番台のレイアウトを基本的に踏襲しているが、座席間床のカラーリングがやや明るい茶色に変更された他、座席が同時期に製造された313系に準じたものに改められ(モケット色は0・100番台に準じる)、シートピッチが910oに変更されている他、妻面の車内案内表示器からデジタル時計が省略される等の違いが生じている。また、製造当初よりドアチャイムを搭載している。トイレは200番台に設置され、引き続き車椅子対応トイレが採用されている。トイレ横の公衆電話は当初設置されていたが、2007年に使用停止・撤去されている。200番台、300番台がそれぞれ8両製造され、キハ75形のグループでは最も多い陣容となった。当初は名古屋車両区に配置され、前述のとおり快速「みえ」や急行「かすが」、更には武豊線及び同線が直通する東海道本線でも用いられた。特に名古屋〜奈良間を結んだ急行「かすが」は本系列で唯一の定期優等列車かつJR西日本管内まで定期運用を持っていた存在で、座席カバーを取り付けた専用の編成が充当された。急行「かすが」は2006年に廃止されており、以降は2024年・2025年に団臨及び試運転で伊賀上野まで入線するまではJR西日本管内に入線することはなくなった。2015年の武豊線電化と前後し、本番台のうち200番台・300番台各6両が美濃太田車両区に転属されることとなったが、うち各3両は耐寒耐雪化が施され、番台が1200・1300番台に改番された。残る各3両は耐寒耐雪化と併せてワンマン運転対応化がなされ、番号が3200・3300番台に改められている。なお、構造上ステップレスとなっているため、高山本線での運用はホーム嵩上げが済んでいる岐阜〜下呂間に限られている。転属しなかった残る4両については引き続き名古屋車両所に所属し、0・100番台と共に快速「みえ」を中心とした運用に就いている。現在もなお主力車両として活躍が続くが、2028年以降に後継となるHC35形が製造されるため、その際には置き換えられる予定となっている。
2024,09,18 津 |