211系1000/3000番台
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211系:0/2000番台・1000/3000番台・5000/6000番台
 1985年登場。それまで直流近郊型電車の主力車両であった115系に変わる新たな近郊型電車として開発された形式である。全長20m、片側に両開き扉を3扉配するスタイルはそれまでの一般的な近郊型電車のそれを継承しているが、本系列では前年に営業運転を開始した205系と同様、軽量ステンレス製車体を採用した。車体幅はそれまでの2900oから拡大されて2950oとなっており、袖が絞られた車体となっている。本形式は省力化、省エネルギーとイニシャルコスト削減を念頭におき、205系でも採用された機軸を複数採用している。制御方式は界磁添加励磁制御方式となり、回生ブレーキに対応する。主電動機は713系と同じMT61形が採用されており、更に歯車比を高めることで加減速性能と高速性能を両立した。211系は2M3Tの編成を基本とするが、この編成で従来の113系や115系の2M2T編成以上の走行性能となっている。制動は電気指令式ブレーキとなっており、このため既存の車両とは基本的に併結は行えない。なお、投入線区によらず抑速ブレーキにも搭載する。1000番台・3000番台は寒地向け仕様車の位置づけで、当初よりスノープラウや耐雪ブレーキ、ドアレールヒーターを備えている他、半自動扉開閉機構に対応し扉にはドア開閉用の押しボタンが設置されている。また、JR化後に正面の行き先表示器がLED化された編成が存在した点も本区分独自の特徴である。車内は1000番台がセミクロスシート、3000番台がロングシートで、ドアボタンの有無を除き車内レイアウトは0番台・2000番台とほぼ同一である。なお、本系列が投入された東北本線上野口(宇都宮線)と高崎線は長年グリーン車が連結される路線ではなかったため、長年モノクラスであり、5連を組む編成を単独ないし2〜3本組み合わせる形で運用されていた。1000番台・3000番台は暖地向けの0・2000番台よりやや早く、1986年2月より営業運転を開始した。国鉄時代は1000番台が11本、3000番台が22本新造され、当初は1000番台1本に対し2000番台1〜2本という組み方で運用されていたが、後に混用されている。この番台は全車JR東日本に継承された他、JR東日本でも1991年までに3000番台5連40本が追加新造されている。小山電車区及び新前橋電車区に配置され、主に115系の初期車を置き換え宇都宮線・高崎線で主力車両として活躍した。2000年のE231系投入に際しては全車高崎車両センターに集約された。2006年からは宇都宮線・高崎線のグリーン車連結比率を高めるため、211系にもグリーン車が連結されることになり、17編成で中間付随車が脱車され、新たにグリーン車が組み込まれることとなった。これに際し余剰となった中間付随車は廃車され、211系における廃車第1陣となった。更に編成単位で余剰となった車両は幕張車両センターに転出し、それまで縁のなかった千葉県でも運用されるようになった。これ以降はグリーン車を連結する基本編成と引き続き5連を組む付属編成、幕張車両センターに転属された編成に大別されて引き続き使用されたが、高崎では2012年からE233系の投入に伴う置き換えが始まり、幕張でも209系2100番台に置き換えられ、2013年までに房総地区、2014年までに高崎線・宇都宮線から撤退した。グリーン車を始め、大半の付随車は廃車され、一部は長野総合車両センターに転属したが高崎にとどまった車両も多く、高崎以北のローカル運用に転じることとなった。2021年現在では1000番台が3連11本、3000番台が長野に3連25本、高崎に3連14本、4連23本の在籍であり、各線で主力車両として活躍している。

 2012,01,04 大 宮


■Variation
 製造当初からの5連を維持していた高崎車両センターのA編成。高崎線で運用されていた末期は、5連を組むA編成(3000番台)、B編成(1000番台)と、グリーン車を連結する10連のC編成という3種類の編成が存在し、A・B編成は増結用途に用いられた他、両毛線や宇都宮線小金井以北でも単独で運用された。高崎線からの撤退後、B編成は編成短縮の上で長野総合車両センターに転属したが、A編成はしばらく5連のままで両毛線で用いられた。現在は4連への短縮が行われているため、5連の211系は既に全廃している。なお、一部編成には霜取り用のパンタグラフが増設されていた。

 2015,12,20 前 橋
 元々1000番台・3000番台にはグリーン車が存在していなかったが、2004年以降宇都宮線・高崎線の普通列車にもグリーン車を連結することになり、211系使用列車にも基本編成にグリーン車を連結することになった。こちらのグリーン車は、田町電車区から捻出された平屋サロ+ダブルデッカーサロの組み合わせ(各6本)と、国府津区の113系に連結されていた車両を211系に編入したダブルデッカーサロ2両の組み合わせ(各5本)に大別される。後者は113系用ダブルデッカーグリーン車として製造されたサロ124形・サロ125形を種車としており、制動方式を電気指令式ブレーキに改め、ドア開閉用押しボタンの新設等の耐寒耐雪化改造が施された他、一部の車両で車掌室・乗務員室の撤去とトイレの設置、台車の交換等がなされた。改造車はサロ212形、サロ213形に編入され、1100番台に区分されている。行き先表示器がLEDに換装されており、外観上はその点でも判別可能であった。改造時にグリーン車Suicaシステムも導入され、E231系と共に上野口の普通列車に用いられたが、2012年のE233系投入以降は置き換えられることになり、改造から10年にも満たない2014年には全車廃車された。

 2012,08,11 上 野
 113系サロ124形として製造されたグリーン車のうち、一部の車両は当初横須賀線・総武快速線で用いられており、側面帯のデザインが他の車両とは異なっていた。その後の国府津区への転入後も帯色の変更こそ行われたがパターン変更まではなされず、211系への編入後もその姿のまま推移した。

 2012,08,11 上 野
 高崎線開業130周年の記念ラッピング・ヘッドマークが施されたC16編成。編成側面(先頭車前頭部分のみ)には、115系を思わせるラッピングが貼り付けられた。2013年7月から同年末までこの姿で運用された。このC16編成は高崎線に残った最後の211系でもあり、2014年12月までその姿を留めていた。

 2013,07,14 宮 原
 幕張車両センターに転出した211系3000番台。高崎線、宇都宮線系統のグリーン車連結を100%とすべくE231系の増投入が行われた結果余剰となった編成を、老朽化の進む113系の置き換えを目的に転用したものである。従来在籍していた113系の「スカ色」ではなく、黄色と青の2色という独自の帯色となった。この帯色は後に209系2100番台にも波及することとなる。幕張車両センターには5連14本が転出し、2006年10月から房総各線で運用を開始して113系6連の運用を一部置き換えた。各線で使用され、5両単独での運用の他、中には2本併結した10連運用も存在した。半自動扉機構も活かされ、長時間停車時に活用された他、珍しいところでは終夜運転時の待合室代替として半自動扉機構を用いながら成田駅構内に留置されたという活用法がある。一定数の113系を置き換えたものの、結局本系列も含めて209系2100番台に置き換えられることになり、2013年3月のダイヤ改正で見納めとなった。ここでの余剰車は付随車を脱車の上3両で長野総合車両センターに再度転属することになった。

 2007,05,05 本千葉
 幕張に所属していた211系の一部は、パンタグラフの離線対策により2007年から銚子方先頭にシングルアームパンタグラフが搭載されていた。編成番号も500台に区分されていたが、長野への再転属に際しては増設されたパンタグラフは再度撤去されている。

 2008,04,09 五 井
 高崎地区に残っていた211系3000番台は、107系と115系の置き換えを目的に、一部中間付随車を脱車の上、リニューアル工事を施して継続使用することとなった。長野地区に転属した211系と同様スカートが強化型スカートに換装された他、先頭車にはセラミック噴射装置が搭載された。車内はオールロングシートのままで変わりないが、扉付近に黄色いすべり止めが追設されている。サハ1両を脱車した4連編成と、基本編成から付随車を脱車した3連編成の2種類が存在するが、後者は専ら2本を併結した6連で運用される。

 2019,05,03 あしかがフラワーパーク
 長野総合車両センターに転属した1000番台。強化型スカートに換装のうえ、セラミック噴射装置が増設された。帯は置き換える115系と同様の「信州色」となり、集電装置は全てシングルアームパンタグラフに換装されている。1000番台は11本全てがサハ211形を脱車のうえ、3連で長野総合車両センターに転属している。

 2019,08,14 上諏訪
 長野総合車両センターに転属した3000番台のうち、幕張車両センターから転属したグループ。3000番台も同様にサハ2両を脱車の上3連を組んでいる。高崎から一度幕張に転属した車両は正面の行き先表示器が全車幕式に改められており、長野への再転属時もそのまま残されている。このグループが長野で最も早く営業運転を開始したグループであり、当初は大糸線で限定運用されていた。

 2013,08,16 松 本
 長野総合車両センターに転属した3000番台のうち、高崎車両センターから転属したグループ。正面の行き先表示器はLEDであることが多い。211系は全て長野配置にすることで、同区のみならず豊田車両センターの115系をも置き換えた。このため運用範囲は非常に広く、中央東線や篠ノ井線、大糸線の他、富士急行線や中央西線、飯田線にも乗り入れている。

 2018,08,14 茅 野
2021/07/29