MC8000形
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 えちぜん鉄道は勝山市にある県立恐竜博物館へのアクセス輸送を担っており、かねてより福井〜勝山間で予約制の「恐竜列車」を運行し、来場者の輸送を行っていた。従前は一般車両に特別な内装(ティラノサウルスの置物や飾り植物等の追設)を施し、一般運用の合間に運用していたが、県立恐竜博物館が2023年夏にリニューアルオープンすることに併せ、恐竜列車の「専用車両」を用意することになった。そこで折しも廃車が進んでいた静岡鉄道1000形の1編成に白羽の矢が立ち、大阪車輌工業での大規模な改修・改造を経てえちぜん鉄道の「恐竜列車専用車」として用いられることとなり、竣工した車両がこのMC8000形である。熊本電鉄に譲渡された1000形が比較的原型を留めているのに対し、こちらは原型をとどめない程の大規模な改造が施された。前面は行き先表示器であった部分と尾灯・種別標識灯の部分が埋められ、行き先表示器のあった部分に前照灯、前照灯のあった部分に尾灯が取り付けられた。行き先表示器は正面左側の窓部分にフルカラーLEDの表示器が搭載されている。外装はJR福井駅の恐竜壁画を描いた山本匠氏によるデザインでフルラッピングされており、8001号車がアメリカ大陸に生息していた恐竜、8002号車がアジア大陸を中心に生息していた恐竜が描かれている。なお、側扉は新しいものに換装されている他、中扉は埋められており2両とも2扉に統一された。車内は既存の座席、つり革等が全て撤去されて従来と全く異なる内装となった。恐竜のオブジェなど恐竜が生息していた時代を再現した「ジュラシックゾーン」と化石の発掘現場を模した「化石発掘ゾーン」に1両ずつ分けられている。壁面、天井、床に至るまでそれぞれのゾーンに見合った造形が施されており、正に「動く博物館」といった様相を呈している。座席はロングシートタイプとボックスシートタイプの2種に分けられているが、座席形状はいずれも同一となっている。集電装置はシングルアームパンタグラフに換装されているが、元々直流600V用車両であるため、大幅に手が加えられた外観・内装に比して走行機器類は基本的に種車のものを引き続き流用している。制御方式は抵抗制御方式を堅持し、静岡鉄道時代からの特色であるT型ワンハンドルマスコンハンドルもそのまま用いられている。この結果えちぜん鉄道では初のT型ワンハンドルマスコン搭載車両となった。このMC8000形は2023年7月の県立恐竜博物館のリニューアルオープンにあわせて同月より営業運転を開始した。冬季を除く土休日・夏休み等に福井→勝山間で「恐竜列車」として運行されているが、団体・臨時運用を除けば基本的に片道1本のみの運行で、復路は福井口まで回送されるので乗車機会が非常に限られた車両となっている。

 2023,07,31 福井口〜越前開発


2023/10/01