600形
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 1994年登場。1500形に次いで1000形置き換え用に製造された地下鉄直通用車両であり、同時に三浦半島方面への観光輸送の双方を担える車両として開発された車両である。車体は1500形1700番台同様アルミ製で、制御方式も同じくGTO-VVVFインバーター制御方式が採用されているが、車体のデザインは大きく変わり、前面が曲面形状となった他プラグ式の貫通扉を左側に設けた左右非対称の姿となり、ワイパーカバーの設置やライト位置の変更等がなされている(当初ワイパーカバーは茶色のものが採用されたが、すぐに白いものへと交換されている)。本車最大の特徴は、登場時の内装にあった。地下鉄への直通対応車ながら全ての座席がボックスシートとなっており、2000形と異なり乗務員室背後にもクロスシートが設置されている。また、初期に製造された8連7本は、一部の座席に「ツイングルシート」と呼ばれる機構を搭載した。これは混雑時に座席を収納して立ち客のスペースを確保したもので、京急が当時目玉としていたものであったが該当部分の座席は座り心地が劣り、また着席定員の減少もある事からほとんど使用されないうちに機構が固定されている。当初の思惑は失敗してしまったきらいのある同車だが、そのデザインは2100形新1000形といった後継車にも受け継がれ、その点でもエポックメーカーと言っても過言ではない。600形は1996年までに8連8本、4連6本が増備され、当初より線内快特や他社線への直通運転を始め幅広い運用に用いられ、特に1998年以降はエアポート快特にも使用が開始されて、京急車として初めて成田方面の毎日運転に充当されるようになり活躍範囲が拡大した。内装面はしばらく登場時のまま推移したものの、2005年より混雑緩和の為にセミクロスシート化改造、2009年より車体更新が施されており、同改造の施工によりドアチャイムや車内案内表示器(当初LED、後にLCDを設置)の追加設置がなされた。更に更新に関してはワイパーカバーに新たに形式名がスリットされた他側面サボ受けがなくなる等外観上の変化も生じている。同車は京成線内での車上情報管理装置を搭載している事から2010年に開業した成田スカイアクセス線での走行にも対応する等引き続き直通運転の要として活躍しており、新1000形10次車同様もっとも幅広い範囲で活躍する京急車となっている。

 2012,07,28 穴守稲荷


■Variation
 1996年に製造された608F。この編成は従来の600形と機器構成が異なっており、中間車2両を抜いた6両編成での運用にも備えていて運用の柔軟化が図られている。集電装置がシングルアームパンタグラフに変更された他、車内は普通のボックスシートとなりツイングルシートは廃されている。この608Fのみ、1編成に2つのメーカー(東洋電機製、三菱製)の制御装置が混在されており、独特の音を奏でながら走行していた。

 2011,02,16 京成高砂
 車体更新、前面表示器LED化後の608F。前述のとおり1編成に東洋製と三菱製の制御装置が混在していた編成であったが、2012年の車体更新を機に三菱製の制御装置に統一されている。

 2021,07,25 志 津
 1996年以降、運用の柔軟化を目指して投入された4連のグループは50番台と区分されている。上記608F同様、集電装置にシングルアームパンタグラフを採用した他ツイングルシートは採用されておらず、中間に電動車を組み込んだ6両編成での運用も考慮されている。基本的に京急線内だけで使用されるが都営浅草線内への乗り入れ自体は可能で、終夜運転の際には都営浅草線を更に超え、京成金町線への入線実績もある。8連が全て更新されており、オールクロスシートのまま残るのはこのグループのみとなっているが、こちらも現在は更新が続いており未更新車は数を減らしている。

 2008,02,28 京急川崎
 4連のグループは8連に遅れて2011年に更新が始まった。こちらは更新と同時に内装がセミクロスシート化されており、ドアチャイムやLCDの設置も同時に行われている。外装面では8連車同様、ワイパーカバーへのスリットの挿入や側面サボ受けの撤去等が行われている。8連の更新が終了した今、この4連のグループへの更新が進んでいる。

 2012,08,25 金沢八景
 2005年、最初にセミクロスシート化が施された606Fは同時に青色に塗り替えられ、「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」と称する広告専用車両となった。現在もこの塗装のままで、2011年には車体更新も施されている。尚、600形は新1000形10次車登場まで唯一京成線の車上情報管理装置が取り付けられていた事から、1998年から2010年までは京成本線における運用が存在しており、2002年までは上野、2006年までは本線経由で成田空港へも乗り入れていた。なお、京急車における京成本線の運用は2015年12月より再び実施されており、更に2018年以降は車種を問わなくなっている。

 2005,03,15 京成八幡★
 前面の種別・行き先表示器がLED化された600形。2014年以降、当初幕を採用していた600形と2100形、新1000形初期車も換装の対象となり、前面に関しては全て換装が終わっている。尚、現在のところ側面は従来通りの幕のままとなっている。

 2015,03,22 品 川

2020/02/27