20020形
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 20020形は西武鉄道で廃車となった特急型車両10000系を譲受のうえ、改造を施した車両である。4両が譲渡されたが、1両は部品取りとされたため、3両で1編成を組んでいる。富山地方鉄道では特急型車両といえど普通列車にも用いられることから、改造なしで極力側扉を確保する必要があり、このため制御車の種車は2両とも飯能方先頭のクハ10100形(10000系で唯一側扉が片側2か所、かつ1か所は車いす対応となっている)が選定されており、うち1両を方転及び電装化することで2M1Tの3連を組成した。外装は西武鉄道時代からほとんど変わらず、レタリングや富山地方鉄道での車番及び社章が追加された程度にとどまっており、側面に大きく配されている「NRA」のロゴマークもそのまま残されている。集電装置は西武時代にはシングルアームパンタグラフとなっていたが、富山では菱形パンタグラフに換装されている。前述のとおり、制御車のうち1両は電装化されているが、電装品は西武鉄道時代のものを引き続き使用しており、一部機器は部品取りの車両から転用されている。元から客室であった部分は基本的に西武時代の内装を基本的に堅持しており、リクライニングシートが1070oピッチで展開する。既存の車内案内表示器は撤去され、代わりに車内案内表示器を兼ねた運賃表示器が備えられている。バリアフリーへの対応として、既存の車いす対応座席は引き続き設けられている他、座席を撤去し車椅子スペースに充当した箇所もある。サニタリースペースについては、制御車のまま存置されている車両(クハ221)は西武時代のまま残され、車椅子対応型のトイレと男子用トイレ、独立した洗面所を備えている。他方、電装化された制御車(モハ20021)はサニタリースペースが全撤去され、この部分も客室化されている。新たに客室化された部分には、元々リクライニングシートだった座席が8席分、ロングシートのように配置されており、併せて荷物棚、つり革も新設され通勤型車両に近い内装となった。ただしこの部分には側窓は新設されておらず、カラースキームも他の箇所とは異なっていることから、総じて独特な雰囲気のスペースとなっている。この20020形は2022年2月に営業運転を開始した。3連を組むことから運用は比較的限定されているが、本車が西武時代に置き換え、走行機器類を譲り受けた先代「レッドアロー」である16010形との共演も見られる。

 2022,06,17 稲荷町


2022/06/18