HOT7000系
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 1994年に開通する智頭急行線では、同線を経由して新大阪〜鳥取・倉吉間を高速走行する特急列車が走ることとなった。JR側の車両はキハ181系が対象となったが、智頭急行でも自前の特急型車両を用意することとなり、製造された車両がこのHOT7000系である。車体・車両性能共に世界で初めての制御振り子付き自然振り子式気動車であるJR四国の2000系をベースとしており、車体は前頭部を除いて2000系と同じくステンレス製となっている。海をイメージした青と紅葉をイメージした赤をあしらうことにより、同社の普通列車用車両であるHOT3500形との共通性を持たせている。先頭部は流線型の非貫通構造のもの(HOT7000形・HOT7010形)及び貫通構造のもの(HOT7020形)の2種類が存在しておりこの点も2000系に類似しているが、こちらは愛称表示器は設けられていない。因みに先頭部には車載カメラが搭載されており、カメラで撮影された前面展望映像が車内のモニターに表示されるようになっている。曲線の多い線区を高速走行すべく、前述のとおり本車は制御付き自然振り子機構を採用している。この機構では、線形のデータを予めマイコンに記録し、曲線の手前からあらかじめ車体を傾斜させることで乗り心地を損なわず曲線時のスピードアップが行えるようになっている。また、出力355PSのエンジンを1両に2基搭載することにより最高時速130km/h、将来的には160km/hでの高速走行を実現させている(尚、形式の『7000』は、機関出力がおよそ700PSであることに由来する)。高出力エンジンと制御付き振り子機構の採用により、曲線や勾配の多い智頭急行線やJR因美線内でも高速運転が行えるようになり、結果として大阪〜鳥取間の2時間30分台での走行を実現している。登場当初はモノクラス構成となっており、1994年12月より特急「スーパーはくと」として営業運転を開始した。その後阪神・淡路大震災の影響で本来の運転が行えない時期もあったが、1996年からは全列車が京都駅発着となった他、キハ181系使用の特急「はくと」の置き換えや輸送力の増強に伴い増備車が随時製造されたことにより現在は総勢34両の陣容となるなど成長を遂げている。尚、1997年に製造されたHOT7050形では初めてグリーン車が設けられている。同列車の営業運転によって大阪〜鳥取間の飛行機が廃止となり、高速バスの利用客が鉄道に移る等の影響が生じている。1997年からは京都〜智頭急行線経由〜鳥取・倉吉間を結ぶ全列車が「スーパーはくと」となった他、2007年からはリニューアル工事が施行されており、現在も引き続いて陰陽連絡特急の花形として活躍が続いている。通常は5両で1編成を組むが、多客時を中心に6両編成に増結される。

 2008,03,06 大 阪


■Variation
 貫通型の先頭車であるHOT7020形。方向を変えての連結も可能で、どの位置にも連結できることから、先頭車として使われる他、中間車代用で用いられることもあるオールラウンダーである。非貫通型先頭車とは乗務員室の長さが異なり、空きスペースを活用すべく同車のみ車内に4人掛けのコンパートメントシートが設けられている。尚、同車に限らずHOT7000系は先頭車にはトイレ等の設備が設けられていない。

 2013,07,21 塚 本