8090系・8590系
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 1980年登場。1978年に製造された軽量ステンレス試作車デハ8400形(8000系に組み込み)の試用を元に量産された、日本初の量産型軽量ステンレス製の車両である。広義の8000系に属しており、引き続き制御方式は界磁チョッパであり、性能面では既存の8000系列と大きな変化はないが、外観は大きく変わっており、コルゲートが低減された反面車体強度を上げる観点から初代5000系に似た卵形の断面となり、本系列における特徴となっている。また前照灯・尾灯を併用した前面ライトや側面の2本帯など、デザイン面では製造から40年以上経った現在でも充分に通じるものとなっている。この時点では地上線のみでの使用を前提としたため、前面は非貫通構造が採用された。第1編成の8091Fを除いて車内袖仕切りの形状が既存車両から変更されており、この点は以降に製造される8500系後期車にも引き継がれている。登場時は東横線の急行を中心に使用され、従来の車両とは一線を画すスタイルで1980年代の東横線の主力車両となった。登場当初は7連を組んでいたが、1985年までに8連10本の陣容となった。1986年の9000系登場の後、1988年にはみなとみらい線開業後の路線地下化を見据えた8590系の落成にあわせて全編成に於いて編成替えがなされており、8590系を含む8連5本と8090系のみの5連10本の陣容となり大井町線にも進出。同線にいた18mの初代6000系や7700系等を全て置き換えた。その後も長らく東横・大井町の両線で主力車両として活躍していたが、2004年以降は後継車両の登場で東横線から撤退し、その後は田園都市線と大井町線で使用された。尚、大井町線に東横線を追われた9000系が転入した影響で廃車が発生しており、2013年6月までに8090系・8590系共に大井町線から撤退した結果、同年以降東急線内で現役の8090系は田園都市線の8590系を含む10連2本のみとなっていた。これも2020系への置き換えで2019年2月までに運用を離れており、これにより東急線上からは8090系の系譜を持つ車両は姿を消した。廃車された車両のうち一部は秩父鉄道に譲渡されており、同社の7500系・7800系となっている他、2013年及び2019年には8590系各4両が富山地方鉄道に譲渡されており、同社の17480形となった。

 2008,07,24 中 延


■Variation
 中期以降に製造された車両はデザインが変わり、ライトがより上部に取り付けられた他窓の形状も初期車とは異なる。尚、2009年7月の溝の口延伸以降大井町線の各停は2種類に分かれ、写真の各停は高津・二子新地を通過する。この時点で、8090系のみで組成された編成についてはすべて行先表示器がフルカラーLEDに換装されていた。

 2009,07,18 溝の口
 1988年、将来的に計画されていた「みなとみらい21線」への直通運転をにらみ製造された貫通型先頭車は8590系と分類される。デザインは8090系後期車に類似しているが、前面中央に貫通扉が設けられ、地下鉄乗り入れに対応している。また、アコモデーションは9000系に準じたものとなり、当初より自動放送装置も搭載された。この8590系の登場により8090系全体で編成が組み替えられ、大半の車両は大井町線に転属、同線の18m車を全て置き換えた。8590系を先頭とする編成は田園都市線・東横線を中心に使用されて当初の目論見通りみなとみらい線への乗り入れも果たしたが、後に5050系に置き換えられて東横線を離れ、その後は2013年まで大井町線に5連3本、田園都市線に10連2本が在籍していた。大井町線からは2013年6月に撤退している。

 2008,05,04 旗の台
 田園都市線に在籍する8590系。2003年に一旦全編成が東横線に戻った為に在籍していない時期があったが、東横線では5050系の増備によって置き換えられており、以降は10連2本が田園都市線の車両として在籍した。東武線直通機器は搭載されておらず、専ら中央林間〜押上間で使用されるが、このため殆どの運用が東武直通運用に絡む日中及び土休日ダイヤでは見る機会が少ない。大井町線から8090系・8590系とも引退したあと、この20両が最後の8090系列となった。2019年2月までに運用を離脱しており、これをもって東急線上からは8090系列は引退となった。

 2012,02,10 藤が丘
 運用離脱後、東急テクノシステム前に留置されている8695号車。田園都市線に在籍していた8590系は2014年になって前面に排障器が取り付けられており、印象が変わっていた。なお、最後まで在籍していた8590系は4両が富山地方鉄道に譲渡されることとなった。

 2019,02,24 東急テクノシステム
 前面に赤帯を巻いていた頃の8090系。登場から長らくはこのスタイルを保っていたが、2008年3月のダイヤ改正を前に大井町線の全ての車両が所謂「グラデーション帯」に張り替えられ、前面が赤帯で存置されているのは田園都市線所属の8590系2本のみとなった。

 2007,09,22 中 延

2022/04/10