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元々は1956年に日立製作所で製造された大阪窯業セメントの『いぶき500形』で、1999年の同線廃止に伴い大井川鉄道に移籍したものである。大阪窯業セメントは伊吹山の麓にセメント工場を有し(工場は2003年に閉鎖)、そこから東海道本線の近江長岡駅までの貨物専用線を有しており、同機は1956年の東海道本線電化にあわせて製造されたものである。全長12.6mのデッキ付き箱型車体を有し、茶色地を基調に袖部に白色の帯が巻かれた塗装となっており、車体中央には大阪窯業セメントのシンボルであるライオンのマークがつけられていた。因みに形式の500は運転整備重量に由来する(50.0t)。専用線で使われていた機関車としては非常に大型であり、全国的に見ても珍しい存在と言える。なお、同車の検査は名鉄に委託されており、鳴海工場・舞木検査場で行われていた。大井川鉄道ではE103号機の置き換えを目的に、2000年3月よりSL補機としての使用を開始したが、中部国際空港への土砂運搬で機関車が不足した三岐鉄道に急遽2両とも渡ることとなり、僅かな間使用されただけで大井川鉄道を去ることとなった。三岐鉄道では重連総括制御・列車保安装置の取り付けを行い2両固定化され、移籍後に先頭に立つ側の前照灯がシールドビーム2灯のものに換装されている。この時点でED501は貸与、ED502は譲渡の扱いとされ、土砂輸送終了後の2002年にED501号機のみ大井川鐵道に返還された。返却に際しては前照灯が両エンド側ともシールドビーム2灯のものに換装され、また塗装がそれまでの白帯を巻いた姿から茶色一色へと変更されている。ED501号機の再移籍でE103号機は運用を離脱し、以降の大井川鐵道電気機関車はE31形導入までE10形2両と同機の3両体制で推移した。現在もSL補機や構内入れ替えに活躍している。
2014,01,24 新金谷 |