E31形
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 1986年登場。当時の西武鉄道では貨物機の主力であったE851形以外は、それまで工事列車の牽引に使用されていた機関車は1920年代に海外から輸入された旧国鉄電機が大半を占め、製造から60年前後と老朽化が顕著になっていた。それらを置き換え車種統一を図るべく西武所沢車両工場で製造された機関車がE31形であり、2015年に名鉄がEL120形を導入するまでの凡そ30年間、日本の大手私鉄が導入した電気機関車としては最も新しい存在であった。車体は全長11m弱と小柄で、西武の主力機であったE851形を小さくしたようなデザインとなっている。そのためパノラミックウィンドウの採用や灯具配置はE851形に準じている。側面には比較的大型の採光窓が4箇所配置されており、側窓の下には大型のルーバーが設置されている。E851形と同じく、乗務員室への扉には窓は設けられていない。塗装はE851形の塗装パターンを逆転させたもので、クリーム色をベースに窓回り・腰部をオレンジ色に、更に下部を黒色に塗装している。走行機器面では主電動機(出力130kwh×4基搭載)・台車は電車の廃車発生品が流用されており、主電動機は同社351系の発生品、台車は国鉄80系電車の発生品が活用されている。それ故制御方式は抵抗制御方式、駆動方式は釣り掛け駆動方式となっている。尚、プッシュプル運転や重連運転も考慮されたことから、当初より重連総括制御に対応している。E31形は1987年までに4両が製造され、同年までにE851形以外の電気機関車を一掃している。元々工事列車や配給・甲種輸送時の車両牽引に用いられる目的で製造されたことから定期貨物運用は持たなかったが、E851形の代走で貨物列車の牽引を担うこともあった。1996年のE851形引退後は唯一の電気機関車として引き続き事業用に在籍し、時にホキ81形やホッパ車や無蓋車トム301形を何両も繋いだ工事列車をプッシュプルで牽引することもあった。しかし、工事列車に使用していた貨車の老朽化に加え、新型の保線車両の導入もあり2008年までに工事列車での運用は終了し、車両牽引に関しても新101系のうち4連1本が全電動車編成に改められ、同編成で賄うこととなった。これらもあり、先んじて2009年3月にE33号機が廃車され、残る3両も1年後の2010年3月にさよならイベントを行った後廃車され、これによって本線上を走行可能な西武の電気機関車は消滅した。このうちE31号機は横瀬車両基地で静態保存されたが、それ以外のE32〜E34号機は旧型機関車置き換えを目的に大井川鐵道に譲渡されている。大井川鐵道譲渡後は3年近く千頭駅構内で留置されていたものの、2013年秋になり一部に整備が施され、自走での本線運転も行われるようになっている。しかし置き換える予定のE10形が検査を通っているため、長きにわたり営業運転開始のめどはたっておらず、新金谷・家山・千頭の3か所にそれぞれ留置されていた。2017年より再起に向けた整備が始まり、同年10月より運用を始める。

 2013,10,06 横瀬車両基地


2015/12/28