10000形
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 1987年登場。小田急創立60周年を記念し7000形の増備終了を受けて製造が開始された特急型車両であり、High Super Exress(HiSE)の愛称を持つ。この「High」は、High-Decker、High-Level、High-Gradeを表しているが、その名の通り7000形の車体をベースにしつつ展望席以外は全てハイデッカー構造となっており、展望席でなくとも眺望性が向上している。また塗装はそれまでの車両と異なり、白とワインレッドを基調とした新しいデザインが採用され、後に7000形も同様の塗装へと改められている。車内は転換クロスシートが採用されており、この座席はリクライニングはしないものの背もたれの傾斜が大きく、これはリクライニングシートを採用している7000形のリクライニング状態に匹敵するほどである。引き続いて「走る喫茶室」を採用しているが、本形式では新たにオーダーエントリーシステムを採用しており、デリバリーサービスのレベルが向上している。1989年までに11連4本が製造され、1988年のブルーリボン賞受賞もあり一躍ロマンスカーの筆頭車両となった。50000形の登場までは最新の展望車両であったこともあり、後継車両が台頭しても尚メディアへの出演機会も多く、18年に渡り小田急のフラッグシップとして君臨した。しかし全車ハイデッカー仕様でありバリアフリーに難があることから、50000形が営業運転を開始すると2編成運用を離脱し一部車両が長野電鉄に譲渡された。更に60000形に置き換えられる形で2011年度を以て残りの編成も運用を離脱、6月に最後の1本が廃車されたことで形式消滅した。最後まで小田急に残存した車両のうち、1両が「ロマンスカーミュージアム」に静態保存されている。

 2007,09,22 千歳船橋


2021/12/20