デオ730形ひえい
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デオ730形:一般仕様・ひえい
 「ひえい」は、洛北エリアおよび比叡山・琵琶湖の周遊観光ルート『山と水と光の廻廊』の更なる活性化を目的とし、京都側から洛北に向かい、比叡山方面へのアクセスルートとなる叡山本線向けの観光電車として開発されたもので、デオ730形732号車を種車として、2017年から翌年にかけて、川崎重工にて大規模な改造が施工された。叡山電鉄では既に鞍馬方面に展望電車「きらら」を走らせているが、同車は展望電車とはまた異なる新たなコンセプトの観光電車として、叡山電鉄の到達点である比叡山や鞍馬山の「神秘的な雰囲気」や「時空を超えたダイナミズム」という概念を「楕円」というモチーフで表現しており、内外装ともに随所に「楕円」が取り入れられた他の車両には見られない形状となっているのが最大の特徴である。種車の車体はベースとしているが、その鋼体はほぼ一から作りかえられている。前面は従来のくの字状に折れ曲がった形状から一変して緩やかなカーブを描いた形状となり、その中心には同車の象徴ともいえる、金色に塗装された大きな楕円のリングが取り付けられている。このリング設置のため、元々は左側に設置してあった運転台は車体中央部に移設されている。前照灯は窓上と窓下に2灯配置となり、それぞれ鞍馬山と比叡山を表している。尾灯は楕円の沿うように配置されており、前照灯・尾灯のいずれもLED化されている。行き先表示器は叡山電鉄では初めてフルカラーLEDのものに換装され、4か国語表記に対応している。また、デオ700系列では唯一、側面にも行き先表示器が増設されている。側窓は乗務員扉を除き全て細長い楕円形のものとなった。車体中央部の窓のみ大型化されており、この部分は立ち席スペースとなっている。また、集電装置もそれまでの菱形から下枠交差型に換装された他、主電動機・台車等もこの改造の際に京阪5000系由来の発生品に換装されている。車内はオールロングシートだが、車いすスペースを除き全てヘッドレスト付きバケットシートとなっている。このヘッドレストは、細長い楕円状になった側窓の中間に位置するように配置されている。化粧板は深緑色で、ポールや袖仕切りも楕円状となるなど、外装とのイメージの一体化が図られている。更に叡山電鉄では初めて照明にダウンライトを用いることで、落ち着いた雰囲気を醸し出している。この「ひえい」は、2018年3月より営業運転を開始した。専ら出町柳〜八瀬比叡山口間で限定運用が組まれており、検査の都合上火曜日は運休となる。

 2018,09,23 修学院