2800系
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 2800系は1972年に登場した通勤型車両である。同時期に製造された4扉クロスシート車両の2610系とほぼ同一の車体・車両性能を有しており、登場時から冷房装置を搭載している点も同一だが、こちらは元々大阪線の区間運転や大阪線より距離の短い名古屋線での使用を想定して製造されたため、車内は製造当初からロングシートとなっており、製造当初は全車ともトイレは設けられていなかった。1979年までに合計60両が製造されたが、製造年により編成両数やパンタグラフの形状、前面方向幕の有無等に違いがある(方向幕については、現在は全車取り付けられている)。尚、後継車と異なり仕様変更による形式名の変更はなされていない。当初は名古屋線に配置された車両もあったが、一時期は全編成とも大阪線に所属していた。その後3連を組む編成が1998年に名古屋へ転出、更に1998年以降には4連5本も名古屋線へと転出して現在の陣容に至っている(2006年に転属した1本は中間付随車を廃車の上3両で転属したが、2800系の廃車はこれが唯一である)。1993年以降車体更新工事が施行されただけでなく、2006年以降は更にB更新工事も施行されており、新型車両と同等のカラースキームとなり車椅子スペースも設けられた。また未施工の車両に対しても転落防止用の幌が設置されている。このため、唯一廃車された1両以外は2020年代に至るまで全車現役で、主力車両の一翼として大阪線、名古屋線の両線で活躍が続く。

 2009,03,20 近鉄八田


■Variation
 1973年以降に製造された車両は中間付随車1両が新たに連結され、4両編成となった。製造当初から前面に方向幕を設けている点も1972年製の初期車とは異なる。尚、この他2連で製造された編成も2本だが存在する。4連車は後述のL/Cカー改造車を除けば、大半が大阪線に在籍しており、当初目的のとおり大阪線の区間運転を中心に使用されている。

 2008,08,06 鶴 橋
 2809Fも製造当初は4連を組み、長らく大阪線で使用されていた編成だが、1両脱車した3両編成での運用が考慮され、初期編成と同様、賢島方先頭車(モ2800形)の前部に集電装置が搭載されていた。この編成は2006年に名古屋線に転属しているが、その際中間付随車が抜かれてそのまま廃車されたため、現在は初期車と同様3連を組んでいる。2022年時点で、2800系で両数が変更された編成は、この編成が唯一となっている。

 2022,05,18 近鉄八田
 1997年、車体更新の施工と同時にL/Cカーへと改造された2811F。この改造と同時にT車にはトイレが設けられ、2610系と同じ長距離急行運用へと投入できるようになった。この他2813F・2815Fと計3編成が改造されたが、いずれも改造と同時に名古屋線へ転属しており、現在では同線を中心に活躍している。尚、この更新とは別に2817Fは1987年にトイレが設けられており、この編成も現在では名古屋線に在籍している。

 2009,03,20 近鉄八田
2022/05/24