1070形
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 1984年登場。琴電では1053形の導入を皮切に車両高性能化が始まっていたが、冷房車は1両もいない状況であり、冷房車の導入は喫緊の課題と言えた。そこで琴電では、軌間の同じ京浜急行電鉄で廃車となった冷房車を導入することで自社線の冷房化を行うこととなった。この目的で導入された車両が1070形であり、前述のとおり琴電では初の冷房車両である。種車となったのは1956年以降に製造された旧600形であり、京急時代は快速特急を中心に使用される優等車両として活躍した名車である。尚、優等用であることから1971年以降に京急では最初に冷房化改造がなされている。譲渡に際しては、従来4連であったものを2連に短縮しているが、それ以外にも大きな改造が施されている。京急時代は湘南型の非貫通スタイルであったが、他車と連結して走行する機会も多いことからこれを改め、前面貫通型、3つ折り妻のスタイルへと大きく変更された。中央に設けられた貫通扉にはサボ受けが設けられ、サボを差し込むことで行き先表示を行えるようになっていた。これとあわせて京急時代に使用されていた方向幕は撤去されており、現在に至るまで行き先表示にはサボを用いている。因みに尾灯のみは京急時代のものを流用している。台車や主電動機は京急時代に使用されていたものを流用しているが、当時在籍した旧性能車との併結に対応するため、ブレーキやマスコンが変更されている。また、保安装置も琴電仕様のものへと改められている。車内は京急時代はセミクロスシートであったがオールロングシートに改められており、京急時代の面影はなくなっている。ただし側面の扉や窓配置はそのままであり、その点では面影をしのぶことができる。登場当初は初の冷房車として主力車両として使用されたが、後に高性能冷房車が追加投入されるとやや影の薄い存在となり、琴平線の完全冷房化の後はラッシュ時を中心に稼働することが多くなった。製造から55年以上経過しているため老朽化も進行しており、2011年には2両が廃車されて現在は4両の陣容となっている。この4両は現在も現役であり、ラッシュ時を中心に引き続いて使用されている。尚、1070形は扉数が少ないことから、現在は基本的には1080形等、3扉・4扉の車両と連結した4両編成で運用される。

 2015,05,03 仏生山