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試作車が1995年、量産車が1997年に登場。神戸淡路鳴門自動車道の全通を1998年に控え、それの対抗策としてJR四国は高徳線の高速化を行うこととなった。N2000系は高徳線の特急「うずしお」を既存車から置き換え、同線の高速化を図る目的に導入されたグループで、2000系の一部ではあるが仕様変更がなされているため、N2000系と区別されている。1994年に営業運転を開始した智頭急行のHOT7000系で得られた技術をフィードバックしており、機関出力は1基あたり355PSに増強された他、高速域からも確実に停止できるよう滑走防止装置が採用されている。基礎ブレーキ装置はディスクブレーキに変更され、併せて台車も変更されている。最高時速は2000系が120km/hであったのに対し、機関出力の増大もありこちらは130km/hに引き上げられている。振り子機構は0番台と同じであり、最高時速が120km/hに低下するものの従来の2000系との混用も可能である。試作車は2000系2100形・2150形と同様の形状であり、差別化として貫通扉、側扉を赤く塗装し、前照灯回りを黄色く塗装した姿となっていた。量産車は前照灯・尾灯の位置が窓上に移り、運転台も更に高運転台化され、かつ前面形状が切妻に近い形から柔らかさが強調されたデザインとなり、印象が変わっている。また帯色は藍染と阿波踊りをイメージしたローズピンクと紺のツートンカラーとなり、試作車もN2000系は1998年までに総勢16両が製造され、特に量産車は全車製造当初は高松に配置された。車内は回転リクライニングシートが980oピッチで展開する。2000系はバックシェルタイプの座席であったが、N2000系の量産車は全面モケット張りとなっており、モケットの色も明るい青色になるなどの相違がある。特筆すべきはトイレで、それまで四国の車両は全て和式トイレが搭載されていたが、こちらは洋式トイレが初めて取り入れられている。なお、N2000系はグリーン車の設定はなく、全車モノクラスである。試作車は当初「南風」等で用いられたが、1998年以降は基本的には特急「うずしお」で使用された。特に導入当初の「うずしお」の再速達列車は高松〜徳島間を55分で結び、その高速性能を遺憾なく発揮した。「うずしお」では、2011年までは2000系と混用されていたが、同年以降はキハ185系使用列車を除きN2000系に統一され、10年以上に渡りその体制が続いた。なお、繁忙期には他地区に貸し出され2000系と混用されることもあった。N2000系がほぼ独擅場であった高徳線の特急だが、2017年の2600系、2019年の2700系投入により高徳線から撤退が進み、2020年7月に「うずしお」から撤退した。以降は松山と高知に転属し、「宇和海」「あしずり」として2000系と混用されながら継続使用されている。
2013,12,30 伊 野 |