EF67形0番台
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EF67形:0番台・100番台
 山陽本線の中でも最も難所である瀬野〜八本松間は俗に「瀬野八」と言われ、上り方面に向けて22.6‰の連続急勾配が凡そ10kmに渡って続く区間である。山陽本線の電車特急に151系が充当されていた頃は上りの特急にすら後補機が連結される程で、現在でも上り貨物列車にはこの部分を含む広島貨物〜西条間で後補機が連結される。この「瀬野八」の区間では長らくEF59形が充当されていたが、元は戦前製であり、1970年代には老朽化が進んでいた。この置き換えのためにEF61形を改造した同形200番台を投入したが、同車は重連時の不具合により単機で1000t級の貨物列車までしか押し上げられない難点を有していた。このため、単機で1000t以上の重量の貨物列車の押し上げが可能な後補機の開発が求められ、このEF67形が登場した。車両新造ではなく、EF60形の後期車を種車に各種改造を施したもので、1982年に3両が改造されている。

 車体は種車のものを活用しているが、直流電気機関車であるにも関わらず、塗装は「モミジ色」と称した赤11号を基調に、前面に黄色い帯を追加するという異色の塗装が採用された。当時は115系電車等でも地域独自色が現れていた頃であり、それが機関車でも採用された初の事例となった。本系列では貨物列車の走行中に連結を解除する自動解放(八本松駅構内にて2002年まで継続)に対応しており、東京方に自動解放装置を備えた他、貫通扉とデッキが新たに取り付けられた。このため前後で前頭部の形状が異なり、東京方はEF62形等に似た前面形状となっている。いずれも窓上には庇が新規に取り付けられている。制御方式は、連続急勾配区間でも従来車以上の粘着力を確保するため、電気機関車としては異例の電機子チョッパ制御方式が採用されている。貨物押し上げに用いられる上りとは逆に、下り方面へは原則として単機または重連での回送となるが、下り勾配での制動において車輪の摩耗を防止するために回生ブレーキが取り入れられており、下り方(2エンド側)の運転では回生ブレーキを使用できる。なお、台車、主電動機については基本的に種車のものを活用している他、歯車比もEF60形時代と同じとなっている。集電装置については、下枠交差型パンタグラフに換装されている。0番台は前述のとおり1982年に3両が落成し、当時の瀬野機関区に配置され広島貨物〜西条間において後補機として使用を開始した。この時点では一部のEF59形とEF61形200番台は残っており、両者の完全な置き換えは1990年の100番台投入まで待たれることとなる。なお、一部列車で行われていた八本松駅構内での自動解放は、100番台では対応しなかったことから、EF67形への統一後も自動解放の運用は0番台に限定された。民営化に際しては車体中央にJRマークが貼り付けられているが、1号機と2・3号機では色や形が違っている。長年にわたり使用されてきた車両であるが、100番台と異なり更新工事は施されず、車体も製造から半世紀近く経過したことに伴い、EF210形300番台の投入により本形式は置き換えられることになり、2013年以降廃車が始まり、2016年までに全車とも除籍されている。以降は1号機が広島車両所に留め置かれている。


 2017,10,21 広島車両所


■Variation
 東京方は八本松駅構内における走行中の列車解放に対応しており、貫通扉とデッキが新設されている。このため下関方とは大きく前面が異なり、別形式の様相を呈している。

 2017,10,21 広島車両所