EF65形1000番台
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EF65形:0番台・1000番台
 1969年登場。従来のEF65形は大きく旅客用と貨物用に分けられていたが、いずれの運用にも広範に使用できる機関車の開発が求められており、重連総括制御が可能な500番台F型機をベースに製造された車両が1000番台である。外観の特徴としては、従来のEF65形にはない貫通扉が設置されたことがあげられる。また、前後どちらの向きでも重連総括運転ができるよう、両側にジャンパ連結器を備えており、本格的に重連総括が行えるようになっている。本番台は旅客・高速貨物運用の両用を目的に製造された直流電気機関車の決定版ともいうべき存在であり、それ故1979年までの10年という長きに渡って139両が製造された。このように長期にわたって増備されているため、増備段階では尾灯上のルーバーの廃止やパンタグラフ・制御器・主電動機の変更など種々のマイナーチェンジが施されている。前述のとおり客貨両方で使用され、とりわけ1978年以降は東海道・山陽本線ではEF66形の旅客運用進出までブルートレインの牽引機の筆頭であり、花形列車の先導役として大いに活躍した。国鉄民営化に際してはJR貨物以外にJR東日本・JR西日本にも引き継がれ、基本的には客貨運用が分けられることとなった。民営化後も旅客会社所属機は特急「瀬戸」「出雲」、急行「銀河」「ちくま」「八甲田」といった各種列車に使用されたほか、貨物所属機は1993年より更新工事が施工され、JR貨物独自色となるなど引き続き客貨双方とも主力車両として活躍した。しかし客車列車の減少で旅客会社所属機は余剰となり、貨物所属機も後継機の台頭で廃車が始まっており、現在は最盛期の半数以下にまで稼働機が減少している。現在旅客会社所属機は工事列車の牽引を中心に、貨物所属機は引き続き貨物列車の牽引に使用されている。尚、小田急電鉄の車両を甲種輸送する際は御殿場線経由で小田急線の新松田駅構内に入線することがあり、「大手私鉄の線路を走行するJRの電気機関車」として異色の存在でもある。

 2011,09,30 市 川


■Variation
 トップナンバーである1001号機。最初期に製造されたグループは北関東地区で使用されていた500番台の置き換え用に製造され、当初は主に東北本線で使用された。このグループは耐寒耐雪構造となっているものの製造当初は庇が取り付けられておらず、後年に至るまで前照灯のつらら切りは取り付けられていない。1001号機は現在も新鶴見機関区に在籍しているが、現在は教習用と言う位置づけとなっており本線上の運転には就いていない。

 2007,03,25 黒 磯
 1000番台2次車に当たる1033号機。このグループではEB装置等が新規に設置されている。民営化後JR貨物所属のEF65形は更新工事が順次施行されているが、中でも広島車両所で施行されたグループは、前面貫通扉がからし色に塗られており、外観上の特徴となっている。もっとも広島更新色は廃車が進んでおり、現在は2127号機のみこの塗装を纏っている。

 2008,08,08 新山口
 1000番台4次車にあたる1040号機。このグループから乗務員室に扇風機が取り付けられ、その影響で尾灯上のルーバーが廃されている。また、尾灯の形状も変更されており従来のグループとは印象が若干異なる。大宮車両所で更新工事が施行されたグループは、前面貫通扉も周囲の色と揃えられている。更新機は当初はライトパープル、ディープブルー、スカイブルーの3色に塗られていたが、後にスカイブルーを除いた2色塗りとなり現在にいたっている。

 2008,09,10 大 宮
 寝台急行「銀河」を牽引する1118号機。1000番台は1972年から1976年まで増備されておらず、1976年以降に製造された車両ではパンタグラフが下枠交差型に変更になる他ナンバープレートのブロック化、車体自体の不燃化等種々のマイナーチェンジが施されている。1118号機はJR東日本への継承後、1998年にジョイフルトレイン「スーパーエクスプレスレインボー」の2代目牽引機に指定され(初代の1019号機はその後しばらくして廃車)、赤い塗装をベースに側面に形式名がレタリングされた独特の姿となっている。2000年の客車廃車後も塗装を堅持しており、長きにわたり田端運転区に所属しイベント列車や工事列車等の牽引にあたっていた。しかし2015年に車両故障をおこし、そのまま廃車解体されている。

 2008,03,06 京 都
 JR貨物に所属しているEF65形1000番台は、2012年より残存車の車号が元番号+1000とされる改番がなされている。これは、最高速度が100km/hを超える車両に運転記録装置の取り付けが義務付けされたことにより、100km/h未満の速度の運用にのみ入り運転記録装置を装備しない車両を区別するために行われた措置である。同様に富山機関区に在籍するEF81形でも同じく元番号に600を加算する改番がなされている。尚、EF65形1000番台ではコキ50000形の100km/h運転に対応するため、一部車両が制動時の走行距離を抑えるべく自動空気制動の減圧促進がなされた車両が存在し、対応車のみナンバープレートが赤色に区別されている。コキ100系列が増備されている今は他車と共用されているが、改番後もナンバープレートは区別されている。

 2012,08,02 大 宮
 蘇我駅で並ぶEF65形1000番台。2012年のダイヤ改正で鹿島線への貨物運用からは撤退したが、引き続き蘇我駅に乗り入れる運用は存在しており総武線や外房線を走行するEF65形はまだ見る事が出来る。右側の2037号機のように自動空気制動の減圧促進改造がなされていない車両は、2000番台への改番にあわせて青いナンバープレートに統一されている。尚、前面にルーバーのある前期型で改番された車両はわずか2両にとどまっている。

 2012,08,18 蘇 我
 下関総合車両所に在籍するJR西日本籍のEF65形。かつては「ムーンライト」や「なは」「あかつき」等、客車列車の牽引にも従事したが、現在は工事列車牽引やキハ120形等の配給輸送が主な運用となっている。トワイライト塗装となっている1124号機を除き基本的には国鉄色を纏うが、貫通扉の換装及び塗装のクリーム一色化やテールライトのクリアテール化、台車のグレー塗装化等については同所に在籍するEF65形にのみ見られる特徴である。

 2017,10,21 下関総合車両所
 2021年の時点でも貫通扉がからし色に塗られた「広島更新色」を纏う2127号機。EF65形の中でも最も後期に製造されたグループに属し、当初は下関に配置されていた。国鉄分割民営化に際してはJR西日本に継承され、旅客列車を中心に使用されたが、牽引列車の減少により、2001年にJR貨物に譲渡されている。広島車両所で更新工事が施工されたが故にこの塗装に改められたが、同色を纏う他の機関車が廃車若しくは国鉄色へと塗り替えが進んだため、現在は本機のみの独自塗装となっている。上述の1033号機と比べ、前面ルーバーの有無、尾灯の処理、集電装置など多くの差異が見受けられる。

 2021,09,26 蘇 我
2021/09/27