E235系0番台
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E235系0番台・1000番台
 量産先行車は2015年、量産車は2017年に登場。従来から山手線で使用されているE231系500番台を置き換える目的で製造された、山手線では13年ぶりの新形式車両である。2006年から量産され、各線区に投入されてきたE233系に代わる次世代の車両として、更なる新技術を盛り込み開発された。全車とも総合車両製作所で製造されており、サハE235形4600番台(E231系からの編入車)を除き同社が手掛ける次世代ステンレス車体「sustina」を採用し、雨樋が突出していないすっきりとした車体形状となっている。車体デザインはKEN OKUYAMA DESIGNが手掛けており、「コミュニケーション」をコンセプトに、「人と人,人と社会を繋ぐ情報の窓」を体現したデザインとなっている。前面はさながらスマートフォンと形容されるような縁取りが印象的で、山手線に配されることから黄緑6号で着色されている。また前面窓下は黄緑6号と黒色のグラデーション模様となっている。側面も同様にグラデーション柄となったが、既に全駅にホームドアが配備された路線への投入ということもあり、側扉周辺のみの着色とされた。制御方式はJR東日本の営業用車両としては初めてSiC素子を用いたVVVFインバーター制御方式となり、量産先行車では車両によりトランジスタ部がIGBT素子となっているハイブリッドSiCモジュール(東芝製)、トランジスタ部もSiCを採用したフルSiCモジュール(三菱製)のいずれかが採用されたが、量産車では後者に統一された。また、主電動機も全閉式誘導電動機が採用され、こちらもJR東日本では初採用となった。それまでの長編成車両で主流であったMMユニット方式は採用されず、制御装置を各電動車に1基搭載し車両ごとにモーター制御を行う独立M車方式が採用されており、将来の転属及びそれに伴う短編成化を視野に入れた設計となっている。本形式を象徴する機構として、車両情報管理装置「INTEROS」の採用が挙げられる。従来主流であった「TIMS」を更に発展させたもので、汎用性の高いイーサネットを伝送路に採用し、伝送量はTIMSの10倍にまで増大している。力行や制動を車両の状態に合わせて最適化する他、車内案内表示器との情報連動を行い、更に走行機器類や地上装置、線路状態の常時モニタリングを行い、地上間とリアルタイムに通信することで、車両、設備における状態を監視し、故障発生時の早期状況把握や予知保全の向上、更に現在一般的な検査周期における検査ではなく、車両や機器類の状態に応じたメンテナンスを行えるようになった。更に地上からも車内案内表示器の情報やソフトウェア情報を随時更新できるようになっている。このINTEROSは209系「MUE-Train」での試験を経て、本形式で初めて実装された。車内は片持ち式のロングシートが展開し、先代のE231系500番台と比べて掛け心地が向上している他、座席幅が拡大している。また、袖仕切りの形状が変更され、部分的に半透明となっている。E235系における車内の最大の特徴は、デジタルサイネージの採用にある。各車とも扉鴨居部に17インチの車内案内表示器が2基ずつ搭載されているのみならず、扉間の鴨居部に各3基、妻面貫通路の上部に1基液晶モニタが搭載されており、広告表示や緊急時の案内等を流すことが可能である(特に3台連続で並ぶ扉間のデジタルサイネージは、1基ずつ独立したコンテンツを提供する他、3台が連動した形でのコンテンツの提供も可能である)。計画時点ではこの導入に伴い紙媒体の車内広告を全廃する方針であったが、最終的には併存とされた。0番台の量産先行車は2015年3月に落成し、各線での試運転の後同年11月に営業運転を開始したが、早々にトラブルに見舞われた結果、INTEROSのシステム改修等で長期間運用を離れ、2016年3月より本格的な営業運転を開始した。量産車は2017年から順次投入され、最終的に2020年までに11連50本の陣容となり、E231系500番台を全て置き換えた。置き換えたE231系500番台は全て三鷹電車区に転出し、同区に在籍していたE231系、209系を他線区に転出させることで、経年を迎えた205系の置き換えが進められることとなった。なお、前述のとおり10号車には大半でサハE231形4600番台を改造編入したサハE235形4600番台が連結されているが、改造工期短縮の観点から、2編成のみ10号車も新造車(サハE235形500番台)が連結されている。現在の山手線は本系列の独擅場となっており、都心におけるJRの新たな顔として活躍している。

 2018,02,03 品 川


■Variation
 2015年、最初に落成した量産先行車トウ01編成。外観上は殆ど変化がないが、荷棚の高さや手すり形状、外装フィルムといった細かな点に違いが生じている。数か月にわたる試運転を経て2015年11月に華々しく営業運転を開始したが、その初日に不具合を起こし早々に運用から離脱するという、良くも悪くも注目を集めた編成となった。INTEROS等の改修を経て2016年3月に営業運転に復帰しており、現在は量産車に交じり普通に運用に就いている。なお、営業運転開始前日には横須賀線で試乗会を行っており、0番台では唯一山手線以外で営業運転を行った編成でもある。

 2017,08,26 田 町
 原則として0番台の10号車はE231系から改造編入されたサハE235形4600番台が連結されているが、例外的にトウ04編成・トウ05編成の2本は、例外的に10号車も新造車が連結されており、11両すべて「sustina」車体で統一されている。これはE231系からの改造編入に際し改造期間を確保するための措置であったが、この影響でサハE231形4600番台(改造種車)2両が余剰となり、これはそのまま廃車されている。

 2018,06,03 西日暮里
 一部のE235系では、尾灯にクリアテールが採用されている。0番台では全50本中8本がこの尾灯となっており、現在では1000番台の一部編成も採用されている。

 2019,07,07 東 京
  トウ04・05編成以外の10号車に連結されているサハE235形4600番台。10号車は工事等で京浜東北線の車両が山手線の線路を走行することがあり、ホームドアの都合上中間車でありながら制御車と同じ扉配置になっている点が特徴である。この車両のみE231系500番台(6扉車の置き換えを目的に2009年以降に製造されたサハE231形4600番台)が種車となっており、外装は他車に合わせられているが雨樋が露出している等の差異がある。車内も液晶表示器の換装やデジタルサイネージの追設(扉配置の都合で他車に比べ3基ずつ少ない)、モケットやつり革の換装などが行われているが、袖仕切りや床色はそのままであり、種車の面影を色濃く残している。

 2018,02,09 東 京
 トウ04・05編成の10号車に連結されているサハE235形500番台。10号車は工事等で京浜東北線の車両が山手線の線路を走行することがあり、ホームドアの都合上中間車でありながら制御車と同じ扉配置になっている点が特徴である。

 2018,06,03 西日暮里
2021/07/11