キハ141系SL銀河
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キハ141系:基本系列・SL銀河
 JR東日本では、東日本大震災からの復旧支援と地域活性化を目的に2014年に釜石線でSL列車を運転することになった。しかし釜石線は仙人峠(陸中大橋〜足ヶ瀬間)に急勾配があり、蒸気機関車の単独走行は多大な負担を強いることになり、また花巻駅の配線の都合上車庫のある盛岡からの回送後は折り返しでの運転となるため、恒常的な蒸気運転を実施するにあたっての課題となっていた(それまで復活運転が行われた際は、補機を連結して運転していた)。折しもJR北海道では客車改造の気動車であるキハ141系が札沼線部分電化に伴い余剰となっており、このうちの4両を譲渡の上改造を施し、客車兼動力車として充当することで、上記課題点の解決を図ることになった。内訳はキハ142形・キハ143形が各1両、キサハ144形が2両で、それぞれ700番台に改番されている。種車の関係から、キハ143形のみ空気バネ台車を搭載し、他はコイルバネ台車を搭載する。前述のとおり、急勾配区間の安定走行と盛岡〜花巻間の回送運転のために動力機構はそのまま残されており、改造に際してはエンジンの換装やジャンパ栓の取り換え、キハ142形の冷房化改造が行われ、新たに保安装置としてATS-Psが搭載された。急勾配区間では機関車と本車で協調運転を行い力行の補助を行うが、ブレーキ操作は機関車側で行うため、ブレーキハンドルは抜き取った状態でマスコン操作のみを行っている。トータルデザインは「KEN OKUYAMA DESIGN」が手掛けており、岩手県出身の宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」を内外装のコンセプトとしている。外装は「夜が明け、朝へと変わりゆく空」をイメージし、釜石方の先端が濃紺色であるものが、花巻方に向かうにつれて明るい青色になるよう配色されている。各車両の車端部には星座をモチーフにしたレリーフが取り付けられている。客室部分は4人掛けのボックスシートとなっており、ボックスごとに植物を模したパーテーションで仕切られている。窓上にはステンドグラス、窓間にはガス灯を模した照明が取り付けられた。各車両とも一部にギャラリースペースを備える他、キサハ144形には車端部にライブラリースペース、キハ142形にはプラネタリウム、キハ143形には売店とラウンジスペースが設けられている。なお、売店部分の反対側は業務用室で、SLの走行状態をリアルタイムでモニタリングできるようになっている。車内案内表示器はデッキ付近や売店付近に液晶表示器が設けらている他、プラネタリウム部分も案内表示は液晶表示器が用いられている。サニタリースペースは既存のものは撤去され、キサハ144-702に洋式トイレ、キハ143-701に車いす対応の洋式トイレが新たに設けられた。「SL銀河」は2014年4月から営業運転を開始したが、それに先立つ形で2014年3月には特別列車として上野まで乗り入れている。「SL銀河」は花巻〜釜石間を2日で1往復する形で運転され、回送として盛岡〜花巻間でも走行する。釜石線の名物列車となった本列車だが、キハ141系の原型である50系の製造から40年が経過し、老朽化が進行していることから、2023年春季の運用を以て「SL銀河」の運行は終了することになった。

 2019,06,15 土 沢


■Variation
 SL銀河のキハ141形は、「夜が明け、朝へと変わりゆく空」をコンセプトとし、釜石方に向かうにつれ色調が徐々に濃くなっている。花巻方2両目のキサハ144-702は車端部にいて座のレリーフが取り付けられている。

 2019,06,15 土 沢
 花巻方3両目のキサハ144-701は、車端部にわし座のレリーフが取り付けられている。

 2019,06,15 土 沢
 釜石方のキハ143形が最も濃い色調となっており、先頭部は濃紺色となっている。車内は客室の他売店・ラウンジが設置されており、車いす用トイレも備えている。車端部にははくちょう座のレリーフが取り付けらている。

 2019,06,15 遠 野
2021/11/24