キハ141系
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 1990年登場。札沼線の札幌〜北海道医療大学間は沿線の宅地化が急速に進み、従来の気動車だけでは足りない事態になっていた。折しも函館本線などでは電車化が進み、従来使用されていた51系客車が余剰となっていた。そこでこれら51系客車に走行機関を取り付け、客車改造の気動車として運用することとなった。この背景で改造された車両がキハ141系であり、JR西日本に在籍した50系客車改造のキハ33形とは兄弟車両という位置付けとなっている。車体はオハフ51形のものが流用され、扉位置も変わっていない等客車時代の面影を残しており、先頭車は前面に角型ライトが採用された他連結を考慮し貫通扉が設けられたデザインとなった。最初に登場したキハ141・142形はキハ56形の廃車発生品と日高本線のキハ130形で使用されているタイプのディーゼルエンジンが搭載され、51系客車の軽量車体に比較的出力の高いエンジンを組み合わせることで、従来の気動車と遜色ない走行性能を保つことを実現している。尚、キハ141形とキハ142形はエンジンの搭載数が異なり、専ら両者を組み合わせて使用されていた。車内は種車同様のセミクロスシートとなっているが、乗客の多い路線で使用されるため、ボックスシートは3列化されており、ロングシートの比率も向上している。

 1994年、更に増備車として改造された車両はキハ143形と別形式が与えられた。これは機関を当時製造されていたキハ150形と同じものに変更したためで、これにより出力がキハ141・142形に比べて大幅に増大している。また台車もキハ150形のものをベースとしたボルスタレス台車が採用されており、機構面に関しては既存車と異なる(ただし双方及びキハ40形とは連結が可能である)。車内はキハ141形をベースとしているが、デッキ仕切戸が廃された代わりに開閉用の押しボタンが扉に設置されている。更に中間付随車としてキサハ144形が4両改造されており、こちらはキハ141・142形同様キハ56形の廃車発生品が流用される等形式によって違いや特徴が生じている。このように4形式が用意されたキハ141系列は、1995年までに44両もの陣容となった。日本において、客車改造の気動車としては最多両数を誇り、希少な成功例と言う事ができる。尚、キハ143形・キサハ144形に関しては1996年以降冷房化が実施された。 キハ141系は普段使用された札沼線の他日高本線に直通する臨時快速や、ナハ29000形等を連結したイベント列車としても使用された。2005年に試作車2両が廃車された以外は近年まで全車健在であったものの、2012年の札沼線札幌〜北海道医療大学間の電化に伴い、一部のキハ143形とキハ141・142形・キサハ144形の全車が運用を離脱している。札沼線電化後も残ったキハ143形10両に関してはワンマン化改造の上で転属し、現在は室蘭本線の普通列車として使用されている。また運用を離脱した車両の一部はミャンマーに譲渡された他、釜石線で運行を開始した「SL銀河」における動力客車用にJR東日本へと譲渡された車両も4両存在する。特に後者のように客車改造の気動車がJR他社に譲渡される事例は前例がなく、特筆事項ということができる。

 2007,11,25 新琴似


■Variation
 最初に登場したキハ141・142形。エンジンの異なるキハ143形とも連結が可能であり、ラッシュ時には最大6両の編成が組まれ通勤通学輸送に貢献した。キハ141・142形は現在全車運用を離脱しており、大半の車両がミャンマーに譲渡されたがJR東日本に譲渡された車両も存在する。

 2007,11,25 新琴似
 1994年以降に竣工した車両はキハ143形と区分された。こちらはキハ150形と同じエンジンを搭載し、台車も新造のボルスタレス台車を搭載する。中間付随車のキサハ144形もこの系列に属する。2012年の札沼線電化で大半のキハ141系列が余剰となる中で、本グループは10両が711系の置き換えを目的に苫小牧に転属の上室蘭本線で使用されることになった。苫小牧への転属に際しては、運賃収受型ワンマン運転への対応や保安装置の換装、側面へのLED式行き先表示器の新設、車両間への転落防止幌の追設等の改造がなされている。2012年10月より室蘭本線の苫小牧〜室蘭間を中心に運用されているが、うち1往復は札幌発着での運転で、札幌圏でもその姿を引き続き見ることができる。このグループも改造から30年近くが経過し老朽化も進んできたことから、2023年に737系電車の投入により置き換えられることになった。

 2022,09,17  鷲 別
2022/09/23