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785系のうち300番台は、2002年の「uシート」導入に伴う785系の編成替えに際し余剰となり長期に渡って保留車となっていたNE-105編成を種車に、青函連絡輸送に従事していた789系0番台の増結用として転用したものである。元はTc-Mcという編成だったが、このうち制御電動車の乗務員室・運転台を撤去し中間電動車化した。789系0番台の増結用となるため、同車と同じく萌黄色が取り入れられ、前頭部と側扉周辺が萌黄色に塗装されている。制御車は非貫通構造となり、愛称表示器が中央窓下に移設され、かつ幕式に改められている。津軽海峡線を走行することから保安装置はATS-Psと青函トンネル内で用いるATC-Lが導入されている。走行機器類も他の785系がリニューアルした際に近い改造が施され、制御方式はIGBT-VVVFインバーター制御方式となった。制動は従来の発電ブレーキから全電気ブレーキに改められたため、屋根上のブレーキ抵抗器は撤去されている。なお、主電動機は本番台のみ換装されて出力が増大しており、青函トンネル内の最高時速140km/hでの走行にも対応した。また、集電装置もシングルアームパンタグラフに換装されている。車内は床に市松模様が追加され、座席モケットが緑系に統一される等、789系のイメージを継承した内装に更新されている。300番台は2010年4月に落成したもののしばらくは運用に入らず、同年12月のダイヤ改正より営業運転を正式に開始し、特急「スーパー白鳥」の増結用に用いられた。この改正では東北新幹線が新青森まで延伸したため「スーパー白鳥」も新青森発着となったが、営業開始前の試運転では八戸まで入線している。以降は789系共々青函連絡輸送に用いられたが、789系とは大きく異なる車体のために異彩を放つ存在であった。785系の中では唯一本州に自走で乗り入れた車両となったものの、2016年の北海道新幹線開通に際して運用がなくなったことからそのまま離脱した。その後789系が札幌地区へ転属した点とは対照的に本車は廃車対象となり、2016年3月末を以て除籍され五稜郭車両所にて廃車解体されている。
2016,01,10 函 館 |